逆境がやって来たときに、人は 大抵自分よりも順境でいる人や、
幸福な人に対して 批評的になりたがるものである。
他人の富を批評して、
「 屹度(きっと)それは 闇(やみ)をして儲(もう)けたに相違ない 」 とか
「 屹度 狡(ずる)い事をしたに相違ない 」 とか考え勝ちであるのである。
しかし 他の富を非難する者には、自分に対しても 「 富 」 は近づいて来ないのである。
税務官吏で千万長者になった者がないのは、常に他の富を苛辣(からつ)に批判して
それから奪おうと云う心理状態が働くからである。
奪おうと云うものは奪われるのである。
すべて心の世界に蒔(ま)いたものは 現実の世界に刈りとらねばならぬのである。
『 生長の家 』 昭和二十六年七月号 十三日の法語 谷 口 雅 春 先 生