ベートーヴェンは、殆(ほと)んど完全に耳聾(しい)てから
彼のいとも有名な諸作品を作曲したのである。
シルレルは肉体の病苦にあえぎながら、
彼のもっともよき著作をものしたのである。
彼は十九年間病苦から逃れることができなかったといわれている。
倉田百三は結核の末期的状態に於いて
その多くの作品を書き上げたのである。
そして自分の作品が有楽座で実演される時には
担架の上に仰臥(ぎょうが)しながら
劇場に運ばれてその実演を見たのである。
ミルトンはその主要な著作を貧乏で病気で盲人になった時に
書いたものだといわれている。
偉大なる決意の前には困難は
彼を縛ることはできないのである。
『 生長の家 』 誌 昭和二十四年七月号
「 困難の受け方に就いて 」 十八日の法語 谷口雅春先生