知人宅の倉庫から見つかった物をお借りして来ました。
五十年以上前の我が家にも同じような物がありました。
海女(男の場合は海士と記します)が使用した水中眼鏡です。
たぶん戦前の物でしょう。
フレームは銅製、使用する人の顔の形状に合わせたオーダーメイドです。
銅板の両端を鋲で繋ぎ輪にしてから槌・鎚で叩いて成型してます。
ストラップはゴム製だったと思います。
朽ちて無くなってますが。
嵌められているガラスはかなり薄いです。
海女の潜行深度は素潜りなので深くてもせいぜい十メートルです。
水圧は二気圧ですから充分なのでしょう。
たぶんこれは御宿だけではなく日本全国に同様な水中眼鏡があったと思います。
もっと凝った水中眼鏡はマスクの脇に中空のゴム球が装着されていて、
潜行するとゴム球が水圧で潰されて中の空気をフレーム内に送るようになってました。
水圧によりフレームが顔面を圧迫するのを緩和する構造でした。
日本での水中眼鏡は明治時代の沖縄からです。
フレームは木製。競泳用のゴーグルの様なニ眼式です。
当時この水中眼鏡の価格は牛一頭に相当したそうです。
↑ 今・・・海女は・・・もういない?かと思います。
現在はシリコン製のフレームです。