満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

みぞれ 作:重松 清

2010-04-27 | 本の紹介


考えたら…「重松清さん」の本を紹介するのは、初めてだの…(笑)
彼の本が面白くないってな訳ではなく、まったくその逆なんだが
読み終わった後に心に軽い脱力感を感じるもんで、色々と書くのが面倒になるんじゃ

まず、軽く「重松氏」のプロフィールをば
1963年に岡山県でオギャーと生まれる。(オギャーと言ったかどうかは解らんがの)
出版社に勤務し、その後作家活動に入る。(よくあるパターンだの)
91年に「ビフォア・ラン」でデビューし、01年に「ビタミンF」で直木賞を受賞

彼の作品は何作か読んだが…「流星ワゴン」が好きかな(笑)

今回読んだ「みぞれ」は、地味なお話しが短編で11個載っている
地味と言っては身も蓋もないか…「身近なお話し」っと置き換えた方がエエかもしれん。

人は生きていると、ちょっと嫌な出来事に沢山ぶつかる(笑)
自分で招くこともあるが、人との繋がりや、仕事関係などの縁から起こる嫌な事もある
嫌なことだからと言って、目を背ける訳にも行かず
かといって解決出来る策がある訳でもなく…
気が付けば時の流れと共に心に大きくのしかかってくる

こういう事に転機というモノがあるのかどうかは解らないのだが
心に大きく重くのしかかっていた「嫌な出来事」が、ある日ストンっと落ち着く時がある
解決はしていない。
なるようになったとしか言えない状況なのだが、それでも少し気持ちが軽くなる。

そんなお話しが11編載っているのだ(笑)

「石の女」
子供の居ない夫婦が、犬に人間の名前を付けた
年賀状に「○○も3歳になりました」と書いてしまったことがキッカケで
子供が居ることになってしまった。
本書ではウソと書いてあるが、私は決してウソを言った訳ではないと思うな
ただ本当の事が言えなかっただけ。そういう時もある(笑)
ところがその友人が家に訪ねてくると言う。さて、困った、どうしよう~

「メグちゃん危機一髪」
業務縮小のため営業一課と二課が合併される。
それぞれの課に課長はいるが、合併されれば課長は一人しか要らない。
同期のどちらかがリストラされることになった
おりしも都会の川には、アザラシのメグちゃんが登場し、メディアは湧き上がっていた
40歳。家も買ったし、子供も居る。地方に飛ばされるかリストラか…
「メグちゃん可愛い~」と脳天気に騒ぐ世間が疎ましい~

「みぞれ」
親が好きな酒を絶って、爪に火を灯すような生活をし
子供だった自分のためにお金を使ってくれた記憶はまったくない
むしろ、金も無いのに酒だけはきらさず、好きな様に生きてきた親父である。
自分も親を当てになどせず、自分の力で頑張って生きてきた。
だからと言って親を恨んだことなどない。今ならソレもイイ経験だと思う。
足腰の弱った父母を妹夫婦が引き取ることになり、リフォーム費用も少しだが出した
ところが親は、古い我が家がイイと勝手に戻ってしまう

子供に関しちゃウチも居ないんだが、居ると言ってしまった事は一度もない(笑)
ただ年賀状に「○○も3歳になりました」と書かれていたとして
イコール子供が居るとは思わんな(アハハハハ)一行だけのその文章では解らんもんの

多摩川にタマちゃんが登場していた時も、一度も可愛いと思ったことなんぞない。
川沿いに人が沢山集まり騒いでいる風景は、なんだか変な感じがしたな(笑)
エサをやる・やらない、捕獲する・しないで論争を呼んでいたのをテレビで見た時に
平和日本を痛感した。

親に関しては…こりゃ困った問題だの
ウチの親も、子のためにお金は一切出してはおらん。っと思っておったが…
友達と比べれば全然劣るのだが、食うものも、着るものもあったし
学校にも通わせて貰ってもいた(途中から自力になったがの…笑)
それに楽しい思い出も結構ある。

だから親にも、最後まで好きなようにさせてあげたい気持ちの方が強い。
とはいえ、足腰が弱って、自力で病院にも通えない状況の父母を放っても置けん
ウチも親は北海道だし、私は神奈川に住んでいる
「頼むよ、ワガママなんぞ言ってる場合じゃないっしょ」っと言いたくなる気持ち
ものすご~~く、良く解る。
この話を読んで泣いた人が居るらしいが…私しゃ泣くどころじゃなかった
いずれ来る老々看護の実態を考えると泣く前に呆れた…
どう考えても、ウチの親もやりそうな事が書いてあったもんで
こんな事くらいで、心が折れないようにしようっと心に誓った(笑)

まるで身近な話ばかりだし、嫌な出来事からスタートするので
最初の読み始めはウンザリする。
でも、読み終わると気持ちがホ~っと暖かくなっているので…また次の話も読んでしまう
(アハハハハハ)
そんな不思議な文章を書ける人なんだな、「重松さん」って(笑)

通勤電車に揺られながら読むには持って来いな本だと思います
機会があれば、一読あれ~(笑)


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