想い事 家族の記録

難病の父と生きる
鬱病
ふたり暮らし

痛みも涙も、全ては君を輝かせるための試練。君はそれを越えていける、 僕の血を宿した、たった一人の君だから。

2025-01-16 23:10:59 | 日記
年末に帰ってきた娘を見て、
気づいた事があった。
彼女は中学生くらいから
まるで変わらない、
つくし体型なんだけど、
雰囲気が、変わったんだよね。
若い女性らしい、美を、
持つようになった。
ヴィーガンフレグランスを纏い、
どこまでも中性的なんだが、
やはり、女の子だったんだなと、
改めて思ったのよ。
これから、どんどんきれいに、
なるんだろう。
逆に、私はどんどん、
老いさらばいていく…。


私が娘に会うたび、
「また、一段ときれいになった」
と思う一方で、娘は、
「うーん、また老けたな」
と、思うんだろうな。



加速する、母の老化。
会うたびに、顔の皺は増え、
深くなる。
全体的に粉を吹いて白っぽいのに、
顔には暗い何かが
宿るようになった。
あれが、死相というものか?
頭から飛んでいくネジは
数知れず、もはや、
脳細胞の崩壊を食い止める
術はないのだと悟った。
身も心も謎の思考に
支配されるようになり、
無駄に深かった謎理論にも
キレが感じられなくなる。
それでも本人は
絶好調のつもりでいる。
そして毎日同じ失敗を
繰り返す。
いずれは失敗した事にも
気づかなくなる。
むしろ、失敗を成功したと、
勘違いしはじめる。
はじめから
ぶっ飛んだ頭の母だったが、
イカれ方が、 
いよいよ神がかってきた。
誕生日にはポエムを
書いてくれた母だったが、
まさか、
母の存在自体がポエムになるとは
思わなかった。
とてもシュールなポエムになった。
破壊的だった思想は歳と共に
角が取れ、
いつしか幻想的になっていた。
いつもの金木犀の香りは
どこへいったのだろう。
腐った枯葉のにおいがするよ。
大地に還っていくのかな。
母…。
人生半ばにしてやっと自由を得て、
時間を捻じ曲げて
貪るように生きたけど、
結局、手遅れだったね。
もう餅は送れないよ。
絶対喉に詰まらせるでしょ。


娘はキラキラする時間の中で生き、
母は時空のギリギリの線を
彷徨うようになった。

そして、彼女の胸には、
一抹の疑問が残っていた。
母は、生涯、一体何に囚われ、
踊らされ、戦っていたのか。

…大方。
自分が作り出した幻想と、
戦っていたんだろうな。
そういう人だ。
若い頃から、
何もない空間を指差して、
爆笑する、薄気味悪い奇行が目立った。
くだらないモノに、
時間とお金を浪費し、
それがいかに有限で
大切なものかに
気づかない、愚かな人。
有限資源の浪費と失敗。
そして破壊。
それが、母の人生のテーマ。
「学習能力」というシステムが、
ほんのわずかでも、脳に
インストールされていたなら、
少しはマシな人生を送れただろうと、
憐憫の情を
もよおさずにはいられない。
しかし、もう全てが手遅れだ。
それもひとつの人生だろう。


…母。いつまでついていけるか、
もうわからないよ。

絶望の向こうに、
彼女は何を見て、
何を決断するのだろうか。



案ずるな。
絶望の向こうには、悟りが待っているのだよ。

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