月曜朝のリオデジャネイロ対応で早々と寝てしまって読み損ねた夕刊を、暑くなりそうな今朝枕元で取り出して眺めた。
でっかい活字の「心技体ドイツ昇華」はさんざんみているのでいいとして最終面に回り、マゼール死去やらアイコやら12時間飲酒やらをほうとみて9面の「背守り 子どもの魔除け」、モスクワの「地下宮殿」で小さく盛り上がり、麻生の「静かにやろう」発言からナチスの「ワイマール空文化」と憲法裁判所、「護憲派にも責任がある」という三島憲一の特集ワイドを興味深く読み、いよいよ7面に。
BC5世紀の「枢軸時代」「精神革命」と呼ばれる時代に「物質的精算の拡大が最初の限界に直面」すると地球上の各地に「人間なるもの」を意識する「普遍的な倫理」が「“同時多発的”に生成」し、それと正反対の「私利の追求が善」という「(当時としては常識は快適な)議論」を持つ思想が工業化と植民地の18世紀に生成したことから、「倫理というものは、ある時代状況における人間の生存を保障するための究極の“手段”」として「地域多様性」を評価する「地球倫理」を唱える広井良典の「パラダイムシフト」にうなった。
そして、フーコーを念頭に置き『明治の表象空間』から「近代社会の権力構造」を分析し、「警察制度も刑法の体系も日本語の網羅的な記述も『明治日本のナショナリズム形成』に関わったことを示し、「管理」と「システム化」に抗する突発的な『出来事性』の鮮烈さを、一葉の『にごりえ』に読み取ったという松浦寿輝のインタビュー。さらにその下、「ラトビア民謡の父」による「民謡の箪笥」と「写真甲子園」の北海道東川町がつくった絵本『もりはいいところ』の小さな物語を描く伊藤玄二郎の「ブックマーク」と読み進んだ。
この前、BS-TBSだったかな、「あなたは新聞を読みますか」という街頭インタビューをみた。「紙」「活字」「想像力」など、〈護紙派〉とでもいえそうな多くの意見はおもしろくきいたが、私はこの豊かさを「新聞を読む理由」としたい。
突発的な出来事性の物語はきっと、静かな生存を保障する手段なのだ。
特集ワイド
http://mainichi.jp/shimen/news/20140714dde012010013000c.html