Ｆ君…

仕事帰りに銭湯によってきた うちの近くの銭湯は刺青入りの方に人気があるのか？今日も何人かいた…

刺青をみてるとＦ君を思い出した。

僕には昔、Ｆ君という友人がいた。今は疎遠となり所在さえわからない。
Ｆ君は若い頃に 勢いで彫った刺青が背中にあった。
優しそうな顔つきに似合わない程大きな刺青…彼は刺青があるがゆえに 夏も厚着し肌をみせることはしなかった。もちろん銭湯にも海水浴にもいかない・・・彼は刺青を入れたのを後悔していた。

彼は厭世的な男だった。刺青がある事でなかなか仕事がみつからず、刺青くらいで拒絶する社会を嫌っていた。
口癖は「俺、来月〇〇へ行く」だった。夏にはタイ、沖縄へ冬には長野、北海道へ行くなどと言っていた。結局どこにも行かなかったが・・・・

彼は社会を嫌う以上に　軽はずみで刺青を入れた自分を嫌っていた。
でも僕は彼が好きだったな。いいヤツでした・・・