Ｉ君…

むかし 職場の後輩に長身でちょっぴり猫背なＩ君というヤツがいた。

彼はある地方から家出同然で上京したヤツで、家を出た理由はやはり いじめだった。

彼は逃げてきた事に すごく負い目を感じていて 一緒に呑み、酔う度に なぜか僕に泣きながら謝ってきた（きっと僕ではなく 親に謝っていたのだろう）

僕はいじめに関して立ち向かえ、我慢しろとは言えない。ただただ逃げろとだけ言いたい。
思うに逃げるのだって勇気がいる。Ｉ君は負い目を感じていたが、そう悪い事じゃない。

彼は自分を「半人前だから…」とばかり言っていたが あてのない東京に来て ひとりで精一杯生活するうち 少しずつ自信をつけていった…
彼とともに働き一年くらい経った ある日 電話で呼ばれ、地元に帰る事を告げられた。
その時の彼は 堂々としていて大きくみえたのを覚えている。

現在は地方で頑張る彼は 昨今のニュースをどう見てるのだろう…