結婚75周年を迎えた夫婦がいた。男の方は少し酒を飲んでいて、感傷にひたりながら昔のことを思い出していた...
なあ、おまえはいつも私のそばに居てくれたね、つらい時も…
30年代の大恐慌で私が失業してしまった時、いつもそばに居てくれたね。
家から離れ、戦争に行ったあげく日本軍の捕虜になった時、捕虜収容所でも何とかやっていけたのは、ずっとおまえのことを考えていたからなんだよ。
戦争から戻ってまた仕事を探さなきゃいけなかった時、やっぱりおまえはそばに居てくれたね。
自分の会社を起こし、週に7日、日に14時間働いていた時でもそこに居てくれた。その後、会社が倒産した時でもやっぱりそばに居てくれた。
70年代、子供達がそこら中のドラッグに手を出し、やっかい事に巻き込まれた時、やっぱりおまえはそばに居てくれた。
新しい商売を始め、また昔のように経済的にやっていけるようになったものの、不況でやっぱりまた倒産してしまった、そんな時でもやっぱりそばに居てくれた。
目に涙を浮かて、妻のほうを向きながら彼は言った、「この疫病神! もう俺にかまわないでくれ!」
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