少年は野球をやってみたくてやってみたくて仕方がなかった。
しかし小学校の友人達は誰も野球に興味を持っていなかったので
野球をする事ができなかった。
「中学には野球部がある。中学にはいったらきっと野球部に
入るんだ」
少年は固く誓った。
少年のそんな野球への情熱を慰めてくれたのは、アニメ「巨人の星」だった。
「思い込んだら試練の道を…」オープニングで曲にあわせながら
黙々とローラーを引く主人公星飛雄馬。
チームのエースでありながらそんな辛く地味な作業を
嫌な顔せず引き受ける星飛雄馬に少年はあこがれた。
「中学に入って野球ができるようになったら、
僕もグランドの整地を進んで引き受けよう」
少年はそう思うのだった。
数年が経った。
中学にはいった少年は野球部に入り、練習に励んでいた。
一日の練習が終って帰ろうとした時
星飛雄馬の事が頭をよぎった。
そして少年は監督のところに向かった。
「先生…」少年は言った。
「コンダラ貸してください!!」
※コンダラは、グラウンドの整備などに使う「手動式の整地ローラー」