みみかほう

こころの耳をすませて すてきな果報にであいたいとおもいます。

✿人魚の眠る家

2016年01月14日 | ✿読書
東野圭吾さんです。
すごい情報量。
その道を卓越した専門家のよう。
この物語のテーマは、「臓器移植」です。

タイトルの人魚は、そう
人間ではなく、人魚となってしまった女の子のお話。




2015年11月20日 第一刷発行




表帯】
答えてください。
娘を殺したのは私でしょうか。

作家デビュー30周年記念作品
愛する人を持つ、すべての人へ。

内容(「BOOK」データベースより)】

娘の小学校受験が終わったら離婚する。
そう約束した仮面夫婦の二人。
彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前。
娘がプールで溺れたー。
病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。
そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。

過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか。
愛する人を持つすべての人へ。感涙の東野ミステリ。

こんな物語を自分が書いていいのか?
今も悩み続けています。 東野圭吾


目次】
プロローグ
第一章 今夜だけは忘れていたい
第二章 呼吸をさせて
第三章 あなたが守る世界の行方
第四章 本を読みに来る人
第五章 この胸に刃を立てれば
第六章 その時を決めるのは誰
エピローグ






「脳死」は人の死なのか。
とても難しいテーマだと思います。
それは、一つの「形」であって、「答え」ではないことも、作品はしっかりと語っています。
東野さんの葛藤が 垣間見えます。


この作品は、ミステリーと銘打ってありますが、
いままでの東野さんの作品とは、趣きが違います。
東野作品の醍醐味、伏線も見当たらず、
犯人がいない
誰一人、罪をおかす人間は、登場しません。


プロローグがあり、エピローグがあります。
読み進めるうちに、あの横山秀夫さんの「半落ち」を思いました。
死んだ息子の臓器を提供した父親が、提供先の少年を探し出します。
息子の臓器がその体内で息づく少年。
少年は、「僕にはおとうさんが二人いると思っています。」と、一言。

結局
ここ
なんですよね。
この一言です。



脳死と植物状態の違いはなんなのでしょう。

■脳死(全脳死)
・脳幹を含む全脳の機能の不可逆的な停止
・回復する可能性はない(一般には心臓は動いているが、人工呼吸器を装着しても通常数日以内に心臓は停止してしまう)
・自力で呼吸できない

■植物状態
・脳幹の機能は残存(あるいは一部残存している)
・まれに回復する可能性がある
・多くは自力で呼吸している


物語の中の女の子は
脳死と判定されますが、両親の愛で、植物状態まで回復させます。
愛によって、そのような姿になってしまった女の子
その姿が「人魚」です。
はたして それが、愛といえるのか
と、
この作品は問いかけてきます。



「人の死」をどの時点で判断するか
それはもう人ではなく神さまの領域だと思います。
当の本人も、家族も、医者も、
神さま近づくことはできても、神さまにはなれません。




・・・






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4 コメント

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脳死 (都月満夫)
2016-01-14 14:45:00
人の死をどの時点で判断するか?
脳死って内臓は生きているんですよね。
だから臓器移植ができる。
受け入れられるかと聞かれたら、きっと受け入れられない。
したっけ。
返信する
Unknown (oldオードリー)
2016-01-14 16:11:15
難しい・・・。

臓器移植踏み切れないだろうと思います。
返信する
φ(..)都月満夫さんへ。 (はなこころ)
2016-01-15 10:45:22
藁をもすがる気持ちは
わかるような気もします。

先日
ニュースで移植を待つ少年が、脳死と判定され
今度は、逆に
臓器提供者にまわった
と、
いう話を、聴きました。

複雑・・ですね。
返信する
φ(..)oldオードリーさんへ。 (はなこころ)
2016-01-15 10:46:40
心臓の動きも止まり
冷たくなって

を、認めたいですよね。
心情として。
返信する

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