最近のビールの話である。
これは発売と同時に販売中止になったアサヒ「スーパードライ 生ジョッキ缶」である。(写真左)
「泡が出る ゴクゴク飲める」「日本初 全開!生ジョッキ缶 」の謳い文句で、予想以上に売れたそうだ。
缶上のプルタブが全面になっており、この生産が間に合わないという。
たまたま手にしたので飲んでみた。泡は確かにクリーミーに出て、生ビールを思いださせた。味は「さらりとした飲み口、キレ味さえる、いわば辛口の生ビールです」と表示してあるが、ウーンさっぱりかな。
私は通常、ビールはレギュラーより小さなものを買っている。
サントリーのプレミアムビールはやはり美味いが、アサヒ、キリンより高い。
そこで私はキリンの「一番しぼり」を買っている。やはり通常はこれだ。
ビールと言えば思い出話がある。
大学2~3年生の頃の夏休み、父親の紹介で飯田市のキリンビール販売店でアルバイトをした事がある。
そこはキリンビールの特約店になっており、その店から街中の酒販売店へとビールを届けた。
トラックに運転手とアルバイトが2人乗り、樽の生ビールと20本入りの大瓶を何ケースも積んで行った。
飯田市は旧市内の店は近いところに何件もあるから、頻繁に降りて運ぶからつらい。
毎日おかみさんに指示されて、時には木曽方面の大平峠や、大鹿村まで行くのだが、街中と違って道路が悪い。舗装されていない道だとガタゴト走るから、飛んだり跳ねたり随分弾んだ。
そんな田舎に限って、量が多く、ケースを重ねるのに私の力では4段辺りからかなりきつかった。
しかし、アルバイトだから毎日ピクニック気分で楽しかった。
運転手は扱いが荒い。時にはケース上を滑らして、大瓶の栓を壊してビールがあふれ出た事があり、その時のビール臭さを忘れない。
その後45年程経た、今から5年前の飯田市お練り祭りに帰省して、おかみさんに会った。
昔話をして、おかみさんも「いろんな所に行けて良かったね」と笑いながら会話した。
やはり大学生の頃、飯田市で「いとこ会」があった時、キリンビール瓶の絵に「キリン」の字が書いてあると言われ、必死に探した事を思い出す。
キリンラガーが全盛の頃、アサヒが「スーパードライ」を開発して、爆発的に売れた。
そして各社は「ドライ」を次々に開発しだした。ひと頃はまるでドライだらけだった。
その頃、会社の部下の女性の結婚式に招待されて私が祝辞を述べる時、卓上にスーパードライが出ていた。
とっさに彼女をホメようと「スーパードライのように頭の切れが良く」と浮かんだ。
アサヒビールの売り文句は「切れが良い」だった。
ただ、アサヒは「ドライ」にこだわり、他社は新製品の開発で売り上げを伸ばしたが、アサヒは伸び悩んだ。
そこで、生ジョッキ缶の開発である。
果たして、アサヒは起死回生となるか。