塾の体験希望者とは初日にいろいろと話をする。
場所はウチの塾の踏絵ともいえる真ん中の部屋でだ。
先週、高田6年制の3年の男の子とお母さんと話した。
好きな教科から始まり将来の夢へと繋いでいくのが通例。
高田6年制の場合、理系志望者が多いのが常。
ところがこの男の子、「どちらかというと文系かな」
珍しいなと思いつつ、弁護士やら会計士などの職種から医療系、医師のネタにと移る。
「今の時代、お金が儲かるからって医者になりたいってのは時代錯誤も甚だしい。生涯賃金でならもっと恵まれた職種もある。医師という仕事、あんな過酷な条件で働かされる・・・あれは好きやないとできない」
男の子の表情に微妙な変化。
おれの話をさえぎるようにお母さん、「言っておこうかとも思ったんですけど、実はこの子の父親、勤務医なんです」
やっちゃった・・・こりゃ悪いこと言っちまったかな・・・心の中での逡巡。
同時に縁がなかったかなとも考える。
ついてない・・・2巡目の親リーに辺七筒を振っちまったようだ。
そんな経緯もあり、二度と会えないかなと思っていたら、小さなサプライズ・・・昨夜現れた。
昨夜は高校生の英語の授業・・・今年度センター試験の6番。
前回は、センター試験の英語を解くことに今いち気が進まなかったようだが、竜太(浪人)がうまく誘ったのか、センター試験の6番をするという。
ちなみに高田6先制は『TREASURE』というZ会出版の教科書を使用している。
県内のおもな私立6年制では鈴鹿6年制が同じく『TREASURE』、そしてセント・ヨゼフとメリノールが古色蒼然、依然として『PROGRESS』である。
そして高田6年制の3年が今習っているのは仮定法。
高田の中3使用の『TREASURE』、ボキャブラリー的には高1水準の英単語で満載である。
センターのレベルならそこそこにできるはず。
俺の授業に参加したのはいつもの高2に加え、藍子(松阪高校2年)が参加。
高1ではあい(津高1年)の一人旅だが、中3では玄太に見学体験の高田の男の子が加わる布陣。
今年度のセンター6番は社会科学でいうところの子どもの発見がテーマ。
子どもという概念がなかった中世社会に貨幣経済が浸透し、商業の発展に伴い、子どもたちを「小さな大人」という枠からはずし、国民国家の一構成員とするなかで教育の必要性が生じていく。
英文中の nation-states・・・国民国家・・・震えるねえ。
国民国家・・・「幻想の共同体」・・・ベネディクト・アンダーソン・・・この流れ、大西講師が思い出される。
国民国家の概念を語りながらのセンター6番。
「このような話に興味を抱いたのなら文系にいらっしゃい。おもろないなあ、なんて思ったら理系に行くこっちゃ」
さあて少年、どうするかな・・・。
俺なりに考える国民国家の概念と、2月28日から始まる和司ちゃんの「絶対に入試に出題されない日本史」の授業・・・うまくスイングしたらおもしろくなる。
自分たちが立脚している当たり前だと思っている地面が、思わず揺らぎ、土砂崩れを起こしそうになるような授業を・・・大西講師と話していたスローガンが10年の時を経て再び蘇る。
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