午前11時には三重大学から塾に戻っていた。
そこへ大典(三重6年制6年)とお母さんがいらっしゃる。
これからのことを話している時に携帯が鳴る・・・竜太だ。
「先生、1限目のなんとかなったような・・・へへへ」
機嫌が良さそうだ。
「先生、今夜だけは塾に行けません」
「なんで」
「今夜は名古屋の友だちのトコに泊まらせてもらいます」
森下(8期生・環境学研究者)が荷物をまとめてやって来る。
旅行でもしそうな勢い・・・海外旅行するんだった。
大きな旅行カバンを抱えておんぼろエスティマに乗り込む。
今日の国公立二次試験、いや昨夜の竜太(18期生・浪人)の『合格まで13日』を見るまで塾に居続けたのやもしれぬ。
午後4時30分中川駅発、伊勢志摩ライナー京都行き。
「これなら午後6時に京都に着く」
再び携帯が鳴る。
竜太だ。
「先生、あんな問題ありえへんわ。今までの過去問とは全く違う」
「まあ、ついてへんことあるやん」と俺。
「あれやったら、みんな難しいって思うはずやし・・・」
「まあええやん、終わったんやから。でも、今夜は名古屋泊まりやろ」
「ええ」
「まあ、久しぶりに楽しんだらいいやん」
助手席の森下が頻繁に鼻をかむ。
「花粉症の具合はどうだ」
「かなりひどい・・・でも、京都に戻ったら花粉症はないよ、こっちだけ」
中川駅のロータリーで森下を下ろす。
「じゃあ」と無愛想な森下。
「ああ」・・・俺もいい勝負だ。
二次試験を終えた諒(津東3年)が戻る。
「400点中で350点あたりの実感はあるんですけどね」
「ビハインドがね・・・50点だっけ」
「ええ、マックスで」
「じゃあ、粛々と後期試験や」
「ハナッからそのつもりですから」
諒にとり、今日の前期二次試験は模試のようなもの。
いつもの一日が始まる。
塾のあちこちで、密航者の出現や新高3の授業準備で新たな風景が浮かび上がりつつある。
そんななかで微塵も変わらないもの・・・諒の風景。
勝負は3月12日、後期試験だ。
あ~あ、森下が京都に帰って今夜から俺一人。
暗いやん。
じゃあ、家に帰れ!ってか・・・そりゃそうなんやけど。
でも、家に帰ったら和んでしまうやん。
ケンカの最中に和んだらアカンやろ。
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