福井市旧美山町の赤谷という集落に平家の落人伝説があるという。平家物語では戦線から離脱し出家した維盛は入水自殺を遂げたことになっている。それが逃げ延び、父重盛が知行国主であった越前の山中に隠れ住んだ、というのが当地の伝説らしい。とはいえ、越前は維盛にとって、北陸遠征で義仲に叩き潰され、命からがらの敗走経路だ。潜伏場所に選びそうもないが。頼盛・保盛親子が越前の知行国主になるが、維盛をかばいたい気持ちよりも鎌倉を恐れる気持ちの方が大きかっただろう。それにしても、いったい全国に維盛の隠れ里はどれくらいあるものか。
行ってきた。
いやはや祖谷もかくやという山の中である。
国道158号線(美濃街道)で美山へ。158号線から県道2号線へ 美山―武生線というらしい。足羽川を遡る。途中道路の法面がひどく崩壊しており、道は新たな迂回路の工事中で片側通行である。更に行って林道に入る。足羽川の支流なのだろう、渓谷に沿っていく。なんとカモシカがいた!カメラを構える暇もなく谷へ消えていったがあれはカモシカだ。対向車に郵便局の車だ。先に集落があるのか、対向車は恐怖でしかないが、先に集落があるらしいと分かるのはありがたい。
何やら集落らしいところに着く。ナビに入れた赤谷の天満宮は右折して更に上るようだが正面の林道は倒木のため通行禁止になっている。
シャガやセリの群生が美しいが森林は荒れた感じだ。
通行止めの先には案内板のようなものがあるようだ。通行止めの前に車を停め案内板まで行ってみる。林道のルートを書いたものだった。
よくわからないが白椿峠を越え、158号線に合流するようだ。
車を停め、天満宮へ向かい坂を上る。週末をここで過ごす家もあるようだが、事実上の廃村のようだ。
天満宮も荒れている。
「北陸の平家物語」という本によれば維盛の碑があるのだが、さっぱりわからない。
落人伝説というのは、なぜこんな山の中にいるのか?きっと先祖が落人で仕方がなかったのだ、というような諦観からかと思うのだが、この山の中の集落は荒れ果ててはいるものの立派な石垣が組まれ、土蔵のある家もある。山林が財を産んだころにはそこそこの集落だったはずだ。
お地蔵さんがあった