【ワディル・キッチングス】
GS-7 第二次大戦と ドイツ愛国者ヘンリー・ゴールドマン退社
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からの続き
ヘンリー・ゴールドマン亡き後、引受業務を担当する新たなパートナーを探しているうちに、アーサー・サックスのハーバード大学の同級生、ワディル・キッチンクグスが候補に上がってきました。 彼は背が高くやせすぎで、白髪豊かな、個性あふれる魅力的な男でした。
テネシー州スワニーの出身で、ハーバード・ロースクールの卒業生であるキャッチングスは、サリヴァン・アンド・クロムウェルで弁護士として働き、JPモルガンでは戦争のための軍需品購買担当として働きました。キャッチングスはハーバードの教育は現実の社会には役に立たないと、失望を隠せませんでした。彼の苦情を受けた教授たちは、「理論は長期的には正しいものであると軽く受け流しました。 しかし、人が関心を持つのは短期的な問題であり長期ではない。 そこで私は、十分な資産が出来次第、ビジネスで理論と実践を一致させようと心に決めた」と彼は書いています。
当時、人気の高い経済評論家であった彼の発言は、メディアに広く取り上げられ、よく読まれていました。 その内容は彼の将来の考え方や行動を忠実に予告し示唆するものでありました。 彼は『利益』『金』『豊かさへの道』といった著作を発表し、とくに『豊かさへの道』はベストセラーとなりました。
ビジネスでは機動力に富み、身軽でなければならない。 不採算部門から素早く抜け出し。採算性の高い部門へと動かなければならない、とキャッチングスは言います。
「事業を継続していくためには環境がどうあろうと、エンジン全開のフルスピードで生産を続けていくべきである」景気循環論は終焉し、アメリカの経済的繁栄は終わることのないもので、何も行く手を阻むことはできない、と彼は信じていました。
しかし、ゴールドマン・サックスでの彼の人生を破壊したものは、1920年代の好景気とそれに続く不況、つまり景気循環そのものでありました。 キャッチングスの楽観的な考え方と自信は、周囲にも伝染しました。1918年(大正7年)、ゴールドマン・サックスのパートナーは、休眠状態にある引受業務を再び活性化するために入社してほしいと彼に要請しました。
1920年代、アメリカの産業は合併ブームに沸き、ゴールドマン・サックスはキャッチングスの広範な人脈のおかげで、この動きにうまく便乗することができました。 この時期、キャッチングスの努力のおかげで世に出た会社は多くあります。 ゼネラル・フーヅ、ナショナル・デアリー・プロダクツ(後のクラフト社)などはその一例です。 これらの会社は、その後何十年と同社の顧客となりました。
キャッチングスはトレーディング業務に特別な関心を示しました。 彼はいくつものトレーディング口座をつくり、シニア・パートナーのオフィスに株価ボードを据え付けました。 彼の在籍中、ゴールドマン・サックスの海外取引は活発になり、ヨーロッパ直通の電話を持たない障害をものともせず、積極的に外国為替の取引や裁定取引を行いました。
もっとも大きく成功したのはドイツでした。 ギャランティ・トラスト(現在はJPモルガンの一部)などは大きな資本を動かせるため、有利な立場にありましたが、ドイツに関してはライバル会社に負けないだけのトレ-ディングをこなしているとパートナーは自負していました。
キャッチングスが自分の成功に慢心し始めると、他のパートナーとの関係はぎくしゃくしていきました。 彼は、社内での自分の地位と持株比率についてパートナーと言い争いを始めました。 qホルター・サックスは「彼(キッチングス)は成功するにつれ、次第に気難しく、傲慢になっていった。そして、冷酷に、会社にありとあらゆる要求をするようになった」といいます。
ウォルター・サックスは兄のアーサー・サックスとの対立上、キャッチングスの要求の多くを受け入れ、パートナーシップの持ち分比率を増やす要求をのみました。 1928年にはキャッチングスはゴールドマン・サックスで最大の持ち分を持つに至り、彼をコントロールするのはいよいよ困難になりました。
1928年12月、非常に長期にわたって上げ相場が続いていた頃、キャッチングスはパートナーたちの同意をとりつけて、会社型投資信託を組成しました。 それを彼は誇らかに「ゴールドマン・サックス・トレーディング・コーポレーション(GSTC)」と名付けました。
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