情報通信研究機構(NICT)は9日、同日午前11時ごろに太陽表面で爆発が起こる「太陽フレア」が発生したと発表した。
この爆発で放出された「高速コロナガス」が10日深夜以降に地球に到達するとみられる。数日以内に全地球測位システム(GPS)の誤差拡大や人工衛星の障害が発生する恐れがあるとしてNICTは注意を呼びかけている。
太陽フレアは中央上の明るい部分で9日に発生した=NASA/SDO提供
NICTによると、9日午前10時56分ごろに太陽フレアが発生した。
太陽フレアはA、B、C、M、Xの5段階で規模を表し、Xが最大規模。今回はX1.8のフレアが発生した。NICT宇宙環境研究室の久保勇樹副室長によると「フレアによって発生したコロナガスが比較的大規模だったため、通信に影響が出る恐れがある」という。
コロナガスは、太陽上層にある電気を帯びたガスが宇宙空間に放出されたものだ。このガスは10日深夜以降に地球に到達する恐れがある。
これによって地球を取り巻く磁気圏が乱され、電離圏の電子密度が変化する。電離圏の電波の反射などを使う短波通信が不通になったり、測位に誤差が出たりする恐れがある。久保副室長によると「地上や航空機中の人体への被曝(ひばく)の影響や、携帯電話などの通信や位置測位には影響の懸念はない」という。
太陽活動は11年周期で活発化するとされる。次の活動のピークは25年ごろと見られているが、24年に入り連続で大規模なフレアが発生している。
24年5月には8〜15日にかけてX級のフレアが13回連続して発生。各地で影響があり、北海道ではオーロラが観測された。
10月3日には7年ぶりの規模となるX9.0の太陽フレアが発生した。このときはコロナガスの規模は比較的小さかったため、大きな影響は出なかった。
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今回の大規模フレアは地球から見て太陽のほぼ中央で発生し、放出されたプラズマの塊であるCME(コロナガス)は地球を直撃しやすい方向に進みます。
必ず直撃するわけではありませんがフレア発生から2~3日で地球近辺に到達するため、10日夜から11日にかけてGPSの乱れなどに警戒が必要です。
記事にもあるようにこのところ大規模なフレアが連続して発生しているので、今回の影響が大きくなかったとしても中期的な警戒も必要になってくるでしょう。