米マイクロソフトはビットコインの保有を求める株主提案を否決した=写真はロイター
代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコインの価格が一時9万5000ドル(約1440万円)を下回る水準まで下落した。
10日の米マイクロソフト(MS)の株主総会で、ビットコインの保有を検討するよう求めた株主提案が否決されたことが材料視されたもようだ。
株主提案は保守系シンクタンクの全米公共政策研究センター(NCPPR)が提出した。1982年に設立され、自由な市場経済を掲げる。資金の大部分を個人からの寄付が占める独立系研究機関としての立場から企業への提案などを進めている。
提案では「インフレ下では企業は短期的な変動が激しくとも、債券より価値が上昇する資産でバランスシートの多様化を検討すべきだ」と指摘。
ビットコインが「優れたインフレ対策」になりうるとして、企業が資産の1%でもビットコインで保有する利点を評価すべきだとした。
一方、マイクロソフトは米証券取引委員会(SEC)に取締役会の反対を報告した文書で、仮想通貨投資を評価する上でボラティリティー(変動率)を考慮すべきだとして、提案は「不要」と結論づけた。
2日には取締役会に対し、仮想通貨への積極投資で知られるマイクロストラテジーのマイケル・セイラー会長がビットコイン投資の必要性を説くプレゼンを実施していた。
NCPPRはアマゾン・ドット・コムに対しても、25年4月の株主総会でビットコイン投資の検討を求める株主提案を提出している。
SBIVCトレード市場オペレーション部の村井領介マネジャーは「米国の年金基金がビットコインを資産に組み入れる動きが本格化しており、大企業の組み入れが出てきても不思議はない」とみる。
トランプ次期米大統領の下で仮想通貨の規制が緩和に転換するとの期待感から、ビットコイン相場は底堅さを維持するとした。
仮想通貨交換業者ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリストは「足元の下げは米消費者物価指数(CPI)の発表や米連邦公開市場委員会(FOMC)への警戒感が相場の重荷となっている」とし、MSの否決の影響は長引かないとみる。
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日経記事2024.12.11より引用