1ドル=152円台前半で推移する外国為替市場(25日、東京都港区の外為どっとコム)
25日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は一時1ドル=152円台に上昇した。およそ2カ月半ぶりの円高・ドル安水準になる。
7月30〜31日の日銀の金融政策決定会合を前に、国内の政治家から日銀に追加利上げを求める発言が相次ぎ、日米金利差の縮小が意識されている。
25日は9時30分過ぎから1ドル=152円台に向けて円高圧力が一段と強まった。
各金融機関が毎朝9時55分時点の銀行間市場を参考に決定したレートである「中値(なかね)」に向けて、輸出企業を中心とした需給要因のドル売り・円買いの動きが強まった。
自民党の茂木敏充幹事長は22日、日銀について「金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」と述べた。
前週には河野太郎デジタル相も円安をけん制し、利上げを求めるような発言をしており、日銀が追加利上げに踏み切る可能性を意識した円の買い戻しが広がった。
月末には米連邦公開市場委員会(FOMC)も控える。
米国ではインフレ鈍化や労働市場の軟化を示す経済指標の発表が相次ぎ、米連邦準備理事会(FRB)高官からも早期利下げに前向きな発言が出ている。日米の金利差が縮小するとの観測から、円買い・ドル売りの動きが広がった。
日米の株式市場で主要指数が下落し、リスク回避の動きも円買いにつながった。
円相場のボラティリティー(変動率)が高まり、低金利の円を調達して高金利のドルで運用する「円キャリー取引」を手掛けてきた投機筋などが円売りの持ち高縮小に動き、円買いに拍車がかかった。
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もちろん、日銀に関する報道が最後のダメ押しになりましたが、もともとドル安・円高の流れは、7月11日に発表された6月の米CPIから始まっていたと思います
。22年の「逆CPIショック」と同様に、米インフレの鈍化→9月利下げ観測の高まりでドル安となりました。
「ほぼトラ」との見方がひっくり返ったのも、トランプラリー期待のドル高・株高の流れを変化させましたし、ボラティリティーの上昇にもつながったと思います。
ドル円のボラティリティーは1カ月物で10%を超えてきました。円キャリー取引の巻き戻しによる円高はしばらく続くかもしれません。
商品市場では金相場が急落しました。
昨日のニューヨーク市場では続伸しましたが、現在は期近8月物が1トロイオンス2374ドル前後と、40ドル強の下落。本来であればドル安は金の国際相場を押し上げる要因になるはずですが、売り物に押される格好になっています。
国内円建て価格は円高も下げ要因になるので下落幅が大きくなっています。 米国の先物売買の買い越し(ファンドなどの非商業部門)が異例の水準まで膨らんでいたので、ポジション調整の売りが増えたことが考えられます
。今度こそ調整らしい調整になるでしょうか。