6日の東京株式市場で日経平均株価が急反発し、前日比の上げ幅は3217円(10%)高の3万4675円で取引を終えた。上昇幅は過去最大となった。
前日の過去最大の下落幅(4451円)から一転したのは、企業業績見合いで昨日の株安は行き過ぎと見る投資家の見直し買いが広がったためだ。
もっとも市場は楽観に傾いたわけではなく、急落で傷んだ個人投資家やファンドの回復には時間を要しそうだ。
日経平均構成銘柄の96%が上昇する全面高の展開となった。景気動向に敏感な半導体関連株に買いが膨らみ、東京エレクトロンは一時19%、アドバンテストは15%高となった。
主力輸出関連株にもマネーが流入し、トヨタ自動車が14%高となった。業種別日経平均株価の首位は海運の16%高だった。
前日比3217円上げ、終値で3万4675円をつけた日経平均株価(6日午後、東京都中央区)
大阪取引所に上場する日経平均先物は大幅な値上がりを受け、午前8時45分の取引開始直後に売買を一時中断する「サーキットブレーカー」が実施された。
比較可能な11年以降で、日経平均先物の上限でサーキットブレーカーが発動したのは今回が初めてという。その後午前8時56分からは日経平均先物の下限でも発動した。前日にも急落によるサーキットブレーカーが実施されている。
「海外の長期投資家がバーゲンセールとみて買いに動いた可能性がある。昨日の下落時にも米系投資家の一角は買いに動いていた」。
こう話すのは国内運用会社のトレーダー。大幅安を静観していた海外の長期投資家が値ごろ感が出たと見て買いに動いたとの指摘が目立つ。
なぜ歴史的な切り返しにつながったのか。きっかけの一つは、米サプライマネジメント協会(ISM)が5日に発表した7月のサービス業景況感指数だ。
好不況の分かれ目となる50を上回り、市場予想も超えて米景気後退への過度な不安はいったん和らいだ。円相場は対ドルで一時1ドル=146円台に達したことも支えになった。
企業業績への信頼が揺らいでいないことも支えだ。ニッセイアセットマネジメントの三国公靖上席運用部長は「ファンダメンタルズは変わっていないと見ている。今回の急落で投資行動は変えておらず業績や統計を吟味している」と話す。
もっとも、株価反発の持続力には疑問も残る。ひとつが外部環境の不透明さだ。
5日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が前週末比1033ドル(3%)安で終え、下げ幅は約2年ぶりの大きさとなった。
市場の先行き警戒感は強く、欧州主要国の株価も急落した。イランによるイスラエル攻撃の懸念など地政学リスクも高止まりしている。
フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッドは「円キャリートレードで資金を増やして株に投資していた層にとっては為替の前提が変わった。
資金不足に陥った個人やファンドは少なくなく、簡単にはリスクオンを取れない」と見る。
日経平均株価の予想変動率を示す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は50と、前日の70からは下落したものの、投資家の不安心理が高まった状態とされる20を大きく上回る。
日経VIが50を超えるほどの株価の急変動に直面した投資家は萎縮し、しばらくは積極的にリスクを取りづらくなる。結果として、その後数カ月間は不安定な相場が続きやすいというのが経験則だ。実際、1987年10月のブラックマンデーのときは、相場が底を入れて株価が安定するまでに2〜3カ月の時間がかかった。
「初戻しは売り」。相場急落後の反騰時の戒めとして、先人はこんな相場格言を残している。
個人投資家の不安感も強い。東京都在住の20代男性は、前日の昼までに損切りし続け国内株のポートフォリオは個別株1銘柄だけに減らした。
「しばらくは上げも下げも大きい相場が続きそうで、またすぐ下がる不安から上昇には賭けられない」と明かす。
この日は急騰したものの、7月11日につけた史上最高値(4万2224円)からの下落率はなお18%安に沈む。
足元の乱高下が投資家心理に影を落とすなか、当面は神経質な値動きとなりそうだ。
(越智小夏)
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日経記事2024.08.06より引用
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