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ウクライナの北朝鮮捕虜、韓国亡命を希望 「同僚は自爆」(日経2025.3.6)

2025-03-06 14:59:55 | NATO・EU・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


ウクライナの北朝鮮捕虜と面会する韓国の庾龍源国会議員㊧=庾龍源議員室提供、一部画像処理しています

 

【ソウル=甲原潤之介】

韓国の軍事専門記者出身で与党「国民の力」の国会議員、庾龍源(ユ・ヨンウォン)氏が2月下旬にウクライナを訪問し、北朝鮮軍の捕虜やウクライナ当局者らと面会した。

捕虜の兵士の1人は韓国への亡命を希望したと明らかにした。

 

2月23〜26日に現地入りし、捕虜になった2人の若い兵士と会った。庾氏によると1人は「ぜひ韓国に行きたい」と明確に意思表示した。

顎を負傷し正確に発音できない状態で、韓国で治療が可能か質問した。

 

「北朝鮮出身の私が行って、家庭を築くのはとても大変ではないか」と悩みを語り、家族を持って普通の暮らしをしたいという心情を吐露した。

戦場での北朝鮮部隊の被害は「非常に大きかった」といい、捕虜になる前に同僚が自爆する姿も直接目撃したという。

 

もう一人の捕虜は韓国への亡命について「決心がつきそうな気もする。もう少し考えたい」と語った。

庾氏はウクライナ国防省情報総局から受けた説明の概要も公表した。戦闘地域に派遣された北朝鮮兵は4分の3程度が「暴風軍団」と呼ばれる特殊部隊、4分の1程度が偵察総局の所属だった。

 

2024年10月ごろから1万2000人程度が派遣され、25年2月26日時点で400人あまりが死亡し、3600人あまりが負傷した。

2月に1500人程度が北朝鮮から追加派遣され、既に戦線に配置された。北朝鮮による3回目の派遣の可能性もあるとみる。

北朝鮮軍の部隊は20歳前後の若年層で構成され、5人でロシア軍10人の戦闘力に匹敵するほど身体能力の高い兵士が選ばれているという。戦闘初期はドローン戦の対応力などに弱さがみられたが、次第に現代戦に適応している。

 

ロシアと連合軍を編成し、北朝鮮兵がロシア兵の携帯電話を借りようとする姿も確認されている。北朝鮮兵が家族と接触を試みたとみられる。

北朝鮮兵が所持していたタブレット端末からは思想教育や理念教育に関する資料が多数みつかった。

 

庾氏は韓国軍のチームがウクライナの現地に入り、北朝鮮の戦闘参加状況の把握にあたるべきだと主張した。

ロシアと北朝鮮は24年に包括的戦略パートナーシップ条約を結んだため「朝鮮半島有事の際、朝ロ連合軍の運用経験が活用できる」として、対策づくりが急務だと警鐘を鳴らした。

 

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

 

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木村幹
神戸大学大学院国際協力研究科 教授
 
ひとこと解説

韓国は以前から脱北者の受け入れを進めており、社会に定着するための教育施設なども充実しています。

しかしながら今回の北朝鮮捕虜の受入れはこれまでとは、異なる困難を伴うものになると思います。戦場で負傷し、或いは大きな心理的ショックを負った人々にどんなにフィジカル・メンタル双方のケアを与えて社会に復帰させるかは、その社会に育った人々にとっても難しい問題です。

 

韓国軍も最後に大規模戦闘を経験したのは、70年代のベトナム戦争であり、今の軍隊が豊富な経験を有しているわけではありません。

異なる社会で育ち、異なる価値観を持ち心身に傷を負った北朝鮮の兵士たちをどうケアするか。制度の整備を急ぐ必要があるでしょう。

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峯岸博
日本経済新聞社 上級論説委員・編集委員
 
ひとこと解説

若い北朝鮮兵の肉声と感情が伝わってくる記事です。

北朝鮮の兵士やテロリストが第三国での任務が失敗に終わったり、敵に捕まったりした場合、祖国に戻れず自爆を選ばざるを得ないのは今に始まったことではなく、1987年の大韓航空機爆破事件や1983年のラングーン事件(爆弾テロ事件)も同様でした。

記事の捕虜も亡命希望の裏で、「元捕虜」の宿命を背負いつつ北朝鮮で生きる未来を悲観したのではないでしょうか。

閉鎖国家・北朝鮮も外部からの情報の流れを完全に遮断するのは無理で、北朝鮮指導部が思想教育や理念教育を通じた若者への締め付けを強化している理由ですが、まさにここに独裁体制を内部から揺さぶるポイントがあります。

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北朝鮮

金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。

 

 

 

日経記事2025.3.6より引用

 

 



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