雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

鍛える青年

2006-08-17 | 雑記
ウチのマンションの近くには、線路が通っている。
ベランダに出ると、その線路を跨ぐ陸橋がすぐ傍に見える。
昨夜、何気にベランダに出て涼んでいたところ、何者かが陸橋の階段を駆け上っていた。そいつは最上段まで行くとまたすぐ階段を駆け下りていった。そしてまた、駆け上がる。そして、下りる。それを繰り返していた。
僕はしばらく、その様子を眺めていた。階段はおよそ七十段近くではなかろうか、目が慣れてきた僕はまじまじと観察する。
ふむ、坊主頭の青年だ。
しだいに僕の妄想は肥大する。
なんだか頭の中で『ロッキー』のテーマ曲がグルグルまわる。
いや、あの坊主頭、高校球児か?今、旬だ。次のレギュラー入り、狙ってんのか?
いや、それとも明日惚れた女を救うべく、どこぞの番長との決着に備えて特訓……など、だんだん逸脱的な妄想にかられていると、いつの間にか青年は姿を消していた…。

なんにせよ、若いうちに体を鍛えるのは良いことだよ、うん。

そんなことを呟きながら、僕はまたしばらくの間ベランダで、涼やかな風を受けながら、青年に必殺技を伝授する妄想に浸っていた。
コメント (8)
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