雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

八番筋カウンシル/津村 記久子

2009-04-15 | 小説
≪小説の新人賞受賞を機に会社を辞めたタケヤス。実家に戻り、家業を継ごうと考えはじめるヨシズミ。地元の会社に就職するも家族との折り合いが悪く、家を買って独立したいと考えるホカリ。幼なじみの3人が30歳を目前に、過去からの様々な思いをかかえて再会する。久しぶりに歩く地元の八番筋商店街は中学生の頃と全く変わらないが、近郊に建設される巨大モールにまつわる噂が浮上したことで、地元カウンシル(青年団)の面々がにわかに活気づく。そんな中、かつて商店街で起こった不穏な出来事で街を追われたカジオと15年ぶりに再会し…。生まれ育った場所を出た者と残った者、それぞれの人生の岐路を見つめなおす終わらない物語。≫

 いまいち、何を目指しているのか解からなかった。今までの津村記久子とは明らかに違う、「おもしろみ」がなかった。芥川賞受賞後第一作とは、こんなものなのであろうか? 正直、賞獲る前の津村記久子のほうが断然良かった。

 私の「読みが浅い」と言われればそれまでのハナシであるが、そんなに深読みする話でもないのも、事実。

 文章のテンポも今までと比べて、ぎこちなさを感じた。

 でも私は津村記久子が好きだ。だから、次作に期待するよ。

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クチュクチュバーン/吉村 萬壱

2009-04-15 | 小説
 コレ、借りようと思って図書館へ行ったら、すでに図書館地下一階の書庫入りをはたしていた。「書庫入り」ってのはどういった基準でなるんだろう? やっぱ貸し出し回数が少ないとか、こんなもん誰も読まねーだろ、とかだろうか? 少なくとも「殿堂入り」とかのニュアンスではない。

 まぁ、書庫入りしてもちゃんと借りられるのでいいのだが、コレに限って言わせてもらえば、タイトルがこっ恥ずかしい。
 司書のオネェサンに「あ、あのぅ……『クチュクチュ、、バーン、、、』借りたいんですけども……」

「えっ?」

「いや、あの、『クチュクチュバーン』です……」

 このように羞恥プレイに突っ走ってしまうであろう。

 映画館で、「すいませーん。『おっぱいバレー』大人一枚」というのと同じくらいに。


 しかし最近は便利なもので、図書館内にあるパソコンでその図書を検索し、出てきたそれをプリントアウトして持っていけば、わざわざ「クチュクチュ」言わなくてすむのである。

 であるからして、私は余裕で司書のオネェサンに紙を差し出して「お願いします」と紳士らしく振舞えたのである。

 オネェサンは「少々お待ちください」と言って地下書庫に取りに行きました。

「こちらですね(にっこり)」

 差し出された表紙を見て、思わず退いた。なんか、思いっきりピンクいよ。んでタイトル『クチュクチュ。。。』とか謳ってるよ。

 いや、これ、なんか思いっきり変態っぽいけどさ、それでもこれ「文学界新人賞」とか獲ってるから! 純文学なんだから! ホント! 

 と、叫びだしたくなったのだが、そこは紳士。

「ありがとうございます」

 目を泳がせながら礼を述べた。

 こういうことがあるから、なるべくは書庫から借りたくはなかったが、やむを得ぬ!


 で、この本の内容ですが、まぁ完璧な変態小説です。いや、変態っつっても「形態を変える」の意ですよ。あくまで。

 度を越し過ぎた不条理世界にただただ、慄くのみ。

 これは書庫入りさせられるわなー。そんな作品でした。
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