雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

吠えるがいいさ!

2009-05-15 | 雑記
 犬によく吠えられる。特に小型犬に。チワワやポメラニアン、近所のこいつらには会う度、無条件で吠えられる。きっと奴らもオレに吠えるのが日課になっているのだろう……。

 しかし昨日は初対面のヨークシャテリアだった。

 仕事帰りに、缶コーヒーでも買おうと店の前に車を乗り入れると、自販機横のポールに繋がれた一匹のヨークシャテリア。
 
 見た瞬間、嫌な予感がした。むこうはオレのこと、すでにガン見状態だし。

 まぁいいや。コーヒーコーヒー。

 ドアを開けて降りた瞬間、それはもう、モーレツなイキオイで吠えたさ。前脚浮かせて吠えてるよ……。

 いったいオレが何をした? 言っておくがオレはお前ら犬どものことが好きだ! いやさ、大好きだ! なのになんだ、この仕打ちは!

 今までなら、悔しくて、切なくて、こんな想いを心の中で叫んでいたが、もう、慣れた。もう、思う存分吠えろ。それでお前らの気が済むなら、オレは進んで人身御供、いやさ、犬身御供になろうではないか……そんな境地に達していた。

 が、そのあまりにも尋常ではない吠え方に、心配して店内から中学生くらいの私服の女の子が出てきた。

 その子は、何食わぬ顔でコーヒーを買うオレを「キッ!」と一瞥し、吠え狂う愛犬を宥めにかかった。

 お、おい、ちょっと……オ、オレは何もしてないから! そのバカがひとりで(一匹で)勝手に狂っちまったんだよう!

 などと、心の中で言い訳してみても、もちろん誤解は解けない。しかし、今、この子に話しかけるのは得策ではない。いくら安く見積もっても、ヘンなおっさんが犬を出汁に女の子にちょっかいかけているの図にしか見えないだろう。

 なので、釈然としない想いを抱えながらも、車に乗り込んで早々と立ち去るよりほかなかった。

 だが、去り際に、チラリと女の子のしゃがんだ後姿を見ると、股上の浅いジーンズから彼女の尻の割れ目が微かに覗いていたので、オレの溜飲はたちまち下がった。下半身の血圧はちょっと上がったけれども。

 気持ちが落ち着いたのか逆に昂揚してしまったのか、なんだかよく判らなくなったオレは、とにかく、非常にゆっくりと丁寧に、安全確認と半ケツ確認をしながら、この状況を惜しみつつ、退散した。
コメント (4)
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