雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

ポトスライムの舟(十二月の窓辺)/津村 記久子

2009-05-17 | 小説
 表題の『ポトスライムの舟』は以前、文芸誌で読んで、アレだったので、とりあえずカップリングの『十二月の窓辺』が読みたくて借りてきた。

 あれだ、タイアップ(芥川賞)付きのA面よりも、むしろカップリングのほうが個人的には断然、好きだな。そんな感じ。

 まぁ、十人十色。
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袋小路の男/絲山 秋子

2009-05-17 | 小説
 出版順に読んでいこうと考えてたのに、なんの手違いか『海の仙人』を飛ばしてしまった。ま、いいや。

 これ、読むとわかるんだけど、凄い上手いタイトル。まさに『袋小路の男』なんだなぁ。
 内容は、簡単に言ってしまえば一筋縄ではいかない、長きに及ぶ純愛ストーリーなんだけど、そう単純なものでもない。いや、単純なんだけど(どっちだ)なんか、「壮絶な」とか「息苦しくなる」とか「もう、あなたしか見えないの!」みたいなコテコテではなくって、だからといってドライな感じでもなくって(だからどっちだよ)上手くは言えないけれど、まさに袋小路なんだな。

 表題の『袋小路~』だけでもひとつの感慨を覚えるが、その次の『小田切孝の言い分』を読むと、またそこでも頷ける。頼りない男と女の人間性が胸の奥を揺らす。
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純情エレジー/豊島 ミホ

2009-05-17 | 小説
 豊島ミホ、デビュー作以来の官能小説。いや、もう少し正しく言えば『青春(性春?)田舎官能小説』といった具合か。

 登場人物は大概、十七歳だったり、童貞だったり、一途だったり。鄙びた田舎を舞台に寄る辺ない秘め事が繰り広げられている。

 いつもの豊島ミホお得意の連作短編的な要素はなりを潜めているが、ひとつだけ対になっている物語があり、それの男側編では、現在の作者自身の心境が投影されているのであろう記述が垣間見られた。

 誤解のないように付け加えておくが、『官能小説』といっても、そこに重点が置かれているワケではないので、この本であれこれどうにかしようと思っても、ちょっとキツイ……あ、でも、半勃ちくらいになったところもあったけれど、まぁ、ご愛嬌。
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パラドックス13/東野 圭吾

2009-05-17 | 小説
 希代のベストセラー作家、東野圭吾が描く徹底的なエンターテーメント小説。

 思わず、この世界観は漂流教室(by 楳図かずお)みたいだな……とか呟いてしまったけれども、それに至る理屈は通ってるんだか通ってないんだか、とにかく煙にまくような感じで、まさにパラドックス。

 あんまり深く考えず、サクサクと読み進められる。考えることはといえば、きっとこれも映画化になるんだろうなぁ……という俗なことばかり。

 ラストは、これでいいんか? でも、これ以外はないか、って感じで読後の清涼感はイマイチながらも、後味の悪さもとくに持たなかった。

 だからこその、徹底したエンターテーメントなんだよなぁ、と納得した。
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追憶のかけら/貫井 徳郎

2009-05-17 | 小説
 貫井作品には毎度、驚かされる。そりゃミステリなんだから驚かされて当たり前なのだが、そのアイデアといい、筆量(ページ数)といい、とにかくハンパない。

 今作品も手に取るとかなりの厚みで、尚且つページを捲れば二段組。嬉しいやら気が遠くなるやらで、かなり手こずるかな? と思いきや、そこはやはり貫井徳郎。グイグイと読み手を惹き込ませる筆力を遺憾なく発揮している。
 そして前半の中途で、作中主人公が入手する、戦後のマイナー作家の自殺前の手記。それが旧仮名遣いで書き綴られている。いわば作中作なのだが、その手記もまた、貫井の筆力を存分に知らしめている。
 その手記をめぐって謎が繰り広げられるのだが、それもまた二転、三転して、まったく飽きることなく読み進められる。

 良い意味で手こずらされる。それこそが真のミステリなんだ、と改めて思い知らされた。
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