雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

クチュクチュバーン/吉村 萬壱

2009-04-15 | 小説
 コレ、借りようと思って図書館へ行ったら、すでに図書館地下一階の書庫入りをはたしていた。「書庫入り」ってのはどういった基準でなるんだろう? やっぱ貸し出し回数が少ないとか、こんなもん誰も読まねーだろ、とかだろうか? 少なくとも「殿堂入り」とかのニュアンスではない。

 まぁ、書庫入りしてもちゃんと借りられるのでいいのだが、コレに限って言わせてもらえば、タイトルがこっ恥ずかしい。
 司書のオネェサンに「あ、あのぅ……『クチュクチュ、、バーン、、、』借りたいんですけども……」

「えっ?」

「いや、あの、『クチュクチュバーン』です……」

 このように羞恥プレイに突っ走ってしまうであろう。

 映画館で、「すいませーん。『おっぱいバレー』大人一枚」というのと同じくらいに。


 しかし最近は便利なもので、図書館内にあるパソコンでその図書を検索し、出てきたそれをプリントアウトして持っていけば、わざわざ「クチュクチュ」言わなくてすむのである。

 であるからして、私は余裕で司書のオネェサンに紙を差し出して「お願いします」と紳士らしく振舞えたのである。

 オネェサンは「少々お待ちください」と言って地下書庫に取りに行きました。

「こちらですね(にっこり)」

 差し出された表紙を見て、思わず退いた。なんか、思いっきりピンクいよ。んでタイトル『クチュクチュ。。。』とか謳ってるよ。

 いや、これ、なんか思いっきり変態っぽいけどさ、それでもこれ「文学界新人賞」とか獲ってるから! 純文学なんだから! ホント! 

 と、叫びだしたくなったのだが、そこは紳士。

「ありがとうございます」

 目を泳がせながら礼を述べた。

 こういうことがあるから、なるべくは書庫から借りたくはなかったが、やむを得ぬ!


 で、この本の内容ですが、まぁ完璧な変態小説です。いや、変態っつっても「形態を変える」の意ですよ。あくまで。

 度を越し過ぎた不条理世界にただただ、慄くのみ。

 これは書庫入りさせられるわなー。そんな作品でした。
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