コロナ渦を描いた小説が、いつの日か「あのときはそうだったよなー」って、懐かしさとともに思い返せる記録になるんだろう。なるはずだと思いたい。
当初、未曾有の日常を世界中の誰もが体験し、恐怖し混乱し、一体この先世界はどうなってゆくのだろう・・・と不安の中に放り込まれながら、三年、人類の様々な抵抗をもって、且つ人間特有の「慣れ」という防衛本能によって危機感は幾分薄れている。まだまだ油断はできないのだけれども。
それでも緊張感というやつはそんなに永く保たないのも事実。
実際、つい一、二年前の緊迫していた日常を描いた小説を落ち着いた心持で読めるのだから。
さて、それにしてもやっぱり絲山先生の文章はスルッと頭に入ってくる。感覚というか気持ちというか、自分が言語化できなかったもどかしさを、示してくれる。言いたかったことを言ってくれたして、そんな風。
舞台は富山。もう何年も仕事で往来しているので他県事とは思われなく、惹きつけられた。
一日でも早く、「感染者数」なんて言葉を耳にすることのない世界に戻ってほしい。
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