雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

オリンピックの身代金/奥田 英朗

2009-01-04 | 小説
≪昭和39年夏。10月に開催されるオリンピックに向け、世界に冠たる大都市に変貌を遂げつつある首都・東京。この戦後最大のイベントの成功を望まない国民は誰一人としていない。そんな気運が高まるなか、警察を狙った爆破事件が発生。同時に「東京オリンピックを妨害する」という脅迫状が当局に届けられた!しかし、この事件は国民に知らされることがなかった。警視庁の刑事たちが極秘裏に事件を追うと、一人の東大生の存在が捜査線上に浮かぶ…。「昭和」が最も熱を帯びていた時代を、圧倒的スケールと緻密な描写で描ききる、エンタテインメント巨編。≫

 怒濤の1400枚!その充実の内容に年末年始、この一冊にかかりっきりになっていました。

 系統的には『最悪』『邪魔』の正統派サスペンス長編。そこに左翼的なものも絡んでいて名作『サウスバウンド』なども彷彿とさせ、まさに奥田英朗の底力を味わえました。

 事件ストーリーもさることながら、この時代を彩る文化や生活なども随所に描かれており、歴史を垣間見る楽しみも味わえる超一級のエンタテイメント作品だと思います。

 ともすれば暗くなりがちな内容なのに、そんなに沈んだ気持ちにならずに読めるのは、やはり奥田氏の類い稀なるセンスと筆力の為せる業なのだと、つくづく感じさせられました。
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2 コメント

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Unknown (藍色)
2009-01-05 01:37:48
秀さん、あけましておめでとうございます。
上下段521頁、一気に読めましたね。
ドキュメンタリータッチで、昭和30年代の音や匂いを感じられました。
新年早々、いい本でよかったです。

今年も、どうぞよろしくお願い致します。
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あけましておめでとうございます♪ ()
2009-01-05 22:34:39
最初本を開いたとき、上下段に一瞬クラッときましたが読み始めると、もうグイグイ惹き込まれましたねー。
なんだか「本当にあった闇に葬られた事件」と思ってしまうほどの迫力がありました。

こちらこそ、今年もよろしくです。
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