雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

草葉の陰で見つけたもの/大田 十折

2009-09-03 | 小説
 晒し首の話。

 って聞くと、なんか晒し首にまつわるちょっとおどろおどろしい話かな? と思うでしょ? でも、

 晒し首の一人称。

 って言われると、えっ、なんだよそれ? と、思いません?

 そう、要するに心のある晒し首が出会う、ある少女との物語。おお、なんか感動しそうな話に聞こえますな。実際、ラストは感動しました。

 それにしても、まったく動けない晒し首の視点でよくぞここまで描けたなぁ、そこが凄いです。文章も軽快でかなりおもしろかったです。

 それにしてもこの作者、二十歳のときに初めて書いたこの小説でいきなり、第一回小説宝石新人賞を受賞したので、また凄い。

 確かにその奇抜なアイディアと読みやすい文章は、うなずけます。

 でも、同時収録の「電子、呼ぶ声」は、ちょっといただけない感じ。今後、期待していいのかどうなのか、微妙……。

「草葉の陰で~」だけ読んでたら、もの凄く期待大だったのに……。
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