雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

マヌケな問い

2011-01-17 | 雑記
 十六のときに自分の給料で買ったテレビが、先日ついに壊れた。まあ二十年も使ったので元はがっつり取れたと思う。ちょうど今年でアナログ放送終了だし。でもどうせならもう一ヶ月ちょっと前に逝ってくれていればエコポイントうんぬんかんぬん……。
 そこでやむなく新しいテレビを買うことになったのだが、如何せんこのところ忙しくて、なかなか買いに行くヒマをもてない。それに自分はテレビを見るヒマもないので「しばらく待て」と妻に言ったのだが妻は一日も我慢できないらしく「じゃあ、わたしが買ってくる」と勢い込んで家電量販店に向かった。
 自分はもう、ほとんどテレビを観ることもなく、たまに借りてくるDVDが観られればいいくらいなので特に急いて要るものでもないだろう、と思っていたのだが妻曰く「じゃあわたしに独りで黙ってご飯を食べろっていうの!」。
 いや、ふつう、飯は黙って食うもんだろ。あと、テレビ観ながら飯食うなよ。行儀の悪い。
 などと言おうものならキレること必至である。
「そんじゃあ五万以下で」
 そう言いおいて仕事にでかけた。
 結局、去年モデルの32型液晶テレビを四万で買ってきた。しかし買ってきたのはいいがアンテナの接続やらなんやかやがうまくいかない、と仕事中妻からのメールがしきりに入る。
「帰ってからオレやるよ」と返信するも帰宅するのは深夜三時くらいである。
 やはりそれまで待てないらしく、説明書を読んでも理解不能の妻は必死で無い頭を駆使したのだろう、「なんとか映った」と歓喜のメールを寄こしてきた。
 ていうか、ふつうに説明書通りやれば映るって。

 とにかくそんな感じで我が家のテレビは入れ替わった。

 さて、新しいテレビはそれでいいが、困るのは古いほうのテレビである。ふつうはきっと、買った店にリサイクル料を払って処分してもらうものなのだろうが、如何せんブラウン管テレビときたら重いことこの上ない。妻に「これ、もっていけ」とはさすがに言えなかったので後日、自分がどこかの回収屋にもっていくしかなかった。
 とはいえ、あてがあるわけでもない。とりあえずネットなどで無料回収などを検索してみるも、そうそううまいところもない。やはり最低でも二千円くらいはかかるらしい。
 まったく、映らなくなったテレビなんて単なる邪魔な箱でしかないので部屋に置いてあってもしょうがないので、とりあえず車に載せておくことにした。
 四日間ほど、無駄な重量を載せて走っていたのだが、その間、何度不法投棄の誘惑に駆られたか知れやしない。
 いい加減、そんな悪の誘惑から逃れたかったので、いよいよ近場にあるリサイクルショップに足を運んだ。
 引き取ってもらえるか訊ねたところ、「処理料がかかります」と言われた。ええ、それはわかってますよ二千円くらいでしょ?
「ああ、これ21型ですねー。三千円です」
 え゛え゛っ! そんなにするの?
 てっきり二千円ほどだと思っていたわたしが発した問いは、

「どこもそんなもんですかね?」

 だったのだが、よくよく考えてみると「いや、あっちの店のほうが安いですよ」などと答えるはずもない。

 気の良さそうなおじさんは「ヤ○ダだともうちょっと高いですよ」と言うので、わたしは「それじゃあ、お願いします……」というより他なかった。

 とりあえず、車は軽くなったが、財布の中身も予想より軽くなってしまった……というお話。
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