雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

修羅の終わり/貫井 徳郎

2008-07-03 | 小説
 警察に爆弾テロを仕掛けてくる秘密結社≪夜叉の爪≫を追う公安刑事・久我、謎の売春組織を追いつつ、自らもその裡なる暴力の思うがままに行動する不良警官・鷲尾、そしてある事件をきっかけに記憶喪失となった『僕』。
 この三人の独立したストーリーが交互に語られてゆく。そして、その先にある三人の修羅の終わり・・・驚愕のクライマックスは最後の最後、その一行で締めくくられる。

 の、だが、とにかく、長い。。。驚愕に達するまでが、本当に、長い。そして、これだけ長いわりには、なんだか煮え切らない終わり方だったりする。全てが気持ちよく解決するミステリとは違って、かなり異質な感じのミステリ作品。不完全燃焼なラストという感は否めないけれど、この陰湿な雰囲気の作品には、このラストが妥当かな?とも思ったりする。
 じゃあ『驚愕』したか?と訊かれると、さほど、してなかったりする。なんとなく、こうなるだろうなぁという予測は出来る。出来るけれど、それでは不可解な点が残るよなぁ?とも思ったりする。(その不可解な点は文庫版の解説で笠井潔氏が解決してくれた。けど、「え~っ・・・」ってカンジ)

 結論として、この作品は読み応え充分だし、これぞ『慟哭』の貫井徳郎ならでは!な逸品なんだけど、なんだか読後は徒労感を抱いてしまう。

 まぁ、気持ちのいい騙され方ではなかったんだな。


 それでも、これだけの長さ(800枚)を全く飽きさせず読ませてくれる技量は、やっぱ凄いんです。貫井徳郎!
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