雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

マドンナ/奥田 英朗

2008-04-24 | 小説
 相変わらずサクサクと面白可笑しく、そしてちょっぴりジンワリとかしちゃう(パンツとかでは、ない)奥田英朗氏お得意のユーモアとペーソス溢れる(ザーメンとかでは、ない)短編集でした。

 五つの短編なんですが、主人公は皆、四十代課長クラスのおっさん。でもこのおっさん達、良くも悪くもとにかくフツウの人たちで、たぶん誰もが(おっさん限定だが)何かしら共感できる部分を見出せると思います。まぁ、オレはおっさんではないがな(ごめん。。。

 で、とにかくスゴイと思うのが奥田氏の観察眼というか洞察力というか、よくこれほどまでに人間を描けるなぁ、と。主人公のおっさん共はもちろんだけど、その他の女性部長や若い女の子、さらには奥さんたちをも完璧なまでに描ききってるんだわ。
 まぁ、これだけ見事に様々な人間を描けるからこそ「伊良部シリーズ」や「ガール」「家日和」等々の短編物も文句なしで面白いんだけど、いやぁ、ホント、素晴らしいわーと、素直に感嘆しちゃいます。
 もちろん、長編でもそれが活かされて、とても魅力的な登場人物たちを描き出しております。

 内容的にも、中盤ハラハラさせて、ラストに「スカーッ!」とくる爽快感が味わえるものや、読後「ほんわか」とくるもの、など、巧みなお話揃いでした。

 きっとこの本は、通勤途中のサラリーマンとかが読むのに適してるんだろうなぁ、って思いました。
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