雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

四日間の奇蹟

2007-08-13 | 小説
 浅倉卓弥氏の『四日間の奇蹟』を読みました。

 なんでも、第一回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞金賞受賞作で、「描写力抜群、正統派の魅力」「新人離れしたうまさが光る!」「張り巡らされた伏線がラストで感動へと結実する」「ここ十年の新人賞ベスト1」などなどと大絶賛されておりましたんで、んじゃあ遅まきなら読んでみるかー、と。

 で、また、騙されました、と。。。

 私的には、正直、ツマんなかったです。なんか、ディティールはいいんですけどね、脳に障害を負った少女ピアニストとピアニストの道を閉ざされた青年。その青年が初恋の人だったという診療所の女性、とかね。でもね、話の核が「アレ」なんですよ・・・そう!ミステリーの王道とでも言うべきか、最早マンネリ気味だろう、とでも言うべき、『心と体の入れ替わり』なんですね。ごちそうさま。

 好きですよ、『入れ替わりモノ』でも、ね、これってヘタすると、かなりのブーイングでしょ?
 でもね、この作品は、まぁ、いいんですよ、これはこれで。たぶん作者が描きたかったのは「生きることの意味」や「人は何故、死ぬのか?」などの人間にとっての永遠のテーマだったんだろうなぁ、と思えるんです。で、その一つの手段として使い古された『入れ替わり』を使用したまでにすぎないんでしょう。
 そういうのは読んでて、ひしひしと伝わってきました。

 ただ、最初に記した大絶賛。には、程遠いだろー、、、ってね。

 作者は良いんです。作品も、良いんです。ただ、それを取り巻く書評家や選考委員、出版社などなどには、やっぱり要注意なんですよ。
 特に、なんたら大賞1位!とか、なんたら賞受賞作!とか、ね。

 まぁ、人それぞれですからね、己の感性に従って読むものを選んだほうが間違いは少ないですね。
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