雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

サンタ・エクスプレス【季節風*冬】/重松 清

2009-02-08 | 小説
 暦の上ではもう春だけど、読みました。季節風シリーズ第四弾【冬】の巻。

 短いながらも心温まるお話が「ギュっ」と詰まった重松歳時記。今回、春、夏、秋から比べると、その「温か」率が高かったような気がする。やはり寒い冬だからこそ、これ読んで少しでも温まってくれれば、という作者の優しさだろうか?私はそう思った。

 そういうことで、収められている12編の感想でも書いてみる。

【あっつあつの、ほっくほく】…なかなか焼き芋を食べる機会というのがないなぁ。ってか、焼き芋って高いんだよね。美味しいんだけど。

【コーヒーもう一杯】…これ読んだあと喫茶店行ってマンデリンを飲みました。苦味がとても良かったです。

【冬の散歩道】…こういう些細な出来事の中で、人間って生きる気力が湧いてくるんだと思います。

【サンタ・エクスプレス】…サプライズプレゼントは、子供じゃなくても心がほどけますね。

【ネコはコタツで】…黒豆の伏線に、ラストは涙します。

【ごまめ】…この話がいちばん好きかなぁ。短いながらも、いや、短いからこそ、重松清の巧さをしみじみ感じられました。

【火の用心】…「正しさがうっとうしさになることは、絶対にある」この言葉がいいね。たしかにあるよ。

【その年の初雪】…これは北陸が舞台ですねー。小学生の転校話はやっぱり切ないけれども、まだまだこれから色んな未来が広がっていくので、良いです。

【一陽来復】…これもまた、この短い中に三つのストーリーを織り交ぜて進めていく作者の巧みさに圧倒されます。

【じゅんちゃんの北斗七星】…このお話は痛いけれど、こういう現実もしっかりあるんだ、と受け止めなければと思います。

【バレンタイン・デビュー】…これは笑えた。

【サクラ、イツカ、サク】…確かな道を目指して進んでゆく人は、やはり素晴らしいです。でも、そういう人ってやっぱ少ないと思う。オレもほとんど「なあなあ」なカンジで生きてるから、だから、言い訳。


 以上、ひとりよがりな感想を連ねてみました。

 

 春は、もうそこまで来てますね。
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退出ゲーム/初野 晴

2009-02-04 | 小説
 女子高生が好きだ。あ、もういいですか?そうですか…。

≪高校一年生の穂村チカは廃部寸前の弱小吹奏楽部のフルート奏者。チカの幼なじみで同じく吹奏楽部のホルン奏者、上条ハルタは、完璧な外見と明晰な頭脳の持ち主。なのだけれども、性癖にいささかの問題がある。
 音楽教師・草壁信二郎先生の指導のもと、廃部の危機を回避すべく日々練習に励むチカとハルタだったが、変わり者の先輩や同級生のせいで、校内の難事件に次々と遭遇するはめに―。
 化学部から盗まれた劇薬の行方を追う『結晶泥棒』、六面全部が白いルービックキューブの謎に迫る『クロスキューブ』、演劇部と吹奏学部の即興劇対決『退出ゲーム』他、書き下ろしの『エレファンツ・ブレス』四編を収録した高校生ならではの謎と解決が冴える、爽やかな青春ミステリ。≫

 これは、デビュー作とはガラリと変わって、ライトで軽快なユーモアに溢れた作品です。やはりこの作者、化けました。もちろん良いほうに。
 コテコテの本格ミステリというワケではないけれど、提示される不可解な謎やそれに突っ込んでいく高校生ならではの事件解決へのノリ、なにより主人公を取巻く変人キャラクターたちがとてもイイ味出してます。正直、面白かったです。
 ただもう少し欲を言えば女子高生の色香が足りないかな、と……いや、まぁ、いいです。

 とにかく、爽やかさ溢れる軽快青春ミステリ!3時のおやつにピッタリです(?
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定額給付金について

2009-02-04 | 雑記
 どのみち、オレの取り分は全額、カミさんに搾取されるだろうし、どうでもいい。
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「検討」って…

2009-02-04 | 雑記
 今や、どこでもそうなんだろうけど、仕事がない。毎日出社するものの、することがない。

 そんな状態なので、必然的に減給となった。

 減給額の示された明細書を受け取る際、社長が言った。

「それで検討してみてくれ」

 は?な、なにを?ワタクシが検討したところでこの額がなにか変わると言うのですか?いや、それはない。

 ………。

 あぁ!ハイハイ、この給料でまだこの会社に残る気があるかどうか、ってことね。


 ………と、とりあえず、もうしばらく世話になります、ならざるを得ないぢゃないですか………。


「100年に一度の大不況」って、これからいったいどうなるんでしょうかねー?
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青春の逆説/織田 作之助

2009-02-03 | 小説
≪自意識過剰でウブな男、毛利豹一。三高に入学したものの、放蕩が過ぎて落第。恋愛も自尊心と経験不足が邪魔をしてうまくいかない。中退後は新聞記者になるが、周囲は珍奇な人物ばかり。そんなある日、豹一はある女性の尾行記事を書くように命じられる。その女性とは、あるスキャンダルがもとで映画界を追放された「問題」の女優だった―。一人の青年の成長を、恋愛や失恋を織り交ぜながら痛快無比に描いた青春小説。≫

 坂口安吾、太宰治らとともに、当時『無頼派』の一人としてその名を馳せた織田作之助、通称『オダサク』(っていうか、昔から日本人て名前を略すのが好きだったんだなぁ)の戦時中、発禁処分をくらった名作。

 いやそれにしても、これはオモシロい。およそ七十年も前に書かれたものが、現在でもまったく色褪せることなく、ましてやその青春論が未だ共感を覚えさせるものであるというのが、スゴいというより、オモシロい。
『青春』そのものに普遍の魅力を感じるのもあるが、それを戦時下においてこれほどまでに痛烈に痛快に描ききる作者に、やはり魅力を感ぜずにはおれない。

 大阪生まれの作者なだけあって、会話の軽快さ、いたる所に散りばめられたユーモラスな表現などは、まさに関西のノリ。

 本当の名作というのは、どれだけ時間が経っても、その素晴らしさは変わらないのだなぁ、とつくづく感じた。
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リリイの籠/豊島 ミホ

2009-02-01 | 小説
 女子高生が好きだ。

 いや、エロい意味ではなく……い、いや、まぁ、それなりにエロい意味も含めて……。

 それは、その世代にしか着られない制服の愛らしさだったり(その短いスカートから露わになってる麗しいフトモモだったり)、屈託のない高らかな笑い声であったり(まだ控えめなあえぎ声であったり)、時折見せる妙に大人ぶった表情であったり(あどけなさと大人びた色気が混同しているなんとも悩ましげな表情であったり)……そんな彼女らから発散される『青春のキラメキ』みたいなもの(ようするに『女子高生フェロモン』)が、たまらなく胸を熱くさせる。(ついでにチンコも熱くさせる。)

 そんな私にとって、この『リリイの籠』という作品は、まさにその『青春のキラメキ』を垣間見せてくれる作品であった。そう、まさに、女子校を覗き見しているカンジ………。

 綺麗事だけじゃない、女の子同士の様々な思惑、軋轢、苦悩を曝け出しながら、そしてその後に残る青春の痛みを抱きながらも、未来へ向かって駆け上がっていく女の子たちを絶妙なタッチで綴ってゆく。作者ならではの女子高生物語。

 カワイイだけの女子高生ばかりではないのだ。色々な問題を抱えながら、今ある輝きに耐え切れず、悶々としている女子高生だっている。(でも、そういう女子高生も、嫌いではない。むしろタイプだったりする)

 そんなこんなで、何もかもをひっくるめて、私は女子高生が大好きなのだ。
コメント (2)
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