ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

帝都衛星軌道

2009-10-07 23:32:57 | Weblog
島田荘司著、講談社文庫

上手だなあ。と思う。
構成はもちろん、読者に情報を与えるテンポも、さすがだなあ、と思う。

帝都衛星軌道の前後編の間に、「ジャングルの虫たち」をはさんでいる。
ちょうど、この「ジャングルの虫たち」を読んでいたとき、
テレビで、30代ホームレスの話をしていた。

ホームレスになるくらい追いつめられても、
「自己責任」という言葉や「プライド」にしばられて、
なかなか「助けてください」とも言い出せないのが30代なのらしい。
なんだか気持ちがわかるなあ。

そして、もうすぐ、若いということがひとつの「能力」である時期は、
過去のものになるだろう。

今日、会社で、ひとつ私が好きだったルートの仕事について、
「収束」の方針が出た。
仕事をしていると、そんなことはよくあることだけど、
やはり携わって来た私としては、ものすごい無力感におそわれた。

どう「おとしまえ」をつけるか。
対外的なパートナーに、どうやってその話をしたらいいのか、ずっと考えている。

人生は不連続の連続でつながっている。
過去にしばられるものだ。
だから、次につながるような終わり方にしたい。

『帝都衛星軌道』は、人間描写が非常に優れていると同時に、
社会の「うごめき」のような得体の知れない空気があって、
今日読むには、本当にぴったりの一冊だったと思う。

そして、ボーッと台風中継を見てしまう。