ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

久しぶりの純愛本

2009-10-29 16:10:37 | Weblog
『会うことは目で愛し合うこと、会わずにいることは魂で愛し合うこと。―神谷美恵子との日々』
野村一彦著、港の人刊

久しぶりというよりも、こんな純愛本は初めてかもしれない。
別世界、異文化の本だった。
少女マンガでも、小説でもなく、
実在した一人の男性の日記をまとめたものなので、
なんだか薄汚れた自分にホッとするような気分になった。

日記の執筆者に配慮して、
タイトルは、神谷さんではなく旧姓で載せてあげたらよかったのに、とも思ったけど、
旧姓だったら、私がAmazonで検索したときに引っかからなかったわけなので、
まあ、しょうがないか、とも思う。
人の手にとってもらわなければ、結局は本として出す意味がないからね。

そうなんだ。
本にかぎらす、商品となりうるものって、どんなものだろうと思う。
このブログのような自己満足とは違い、販売するものである場合、
価値は販売側と購買側の両方が認めなければ、売買が成立することはない。

商品を購入するということは、単にそのときお金を払う、ということだけでなく、
一緒に、後からそれに費やす時間や体力も投資している。
もっと別のことをする可能性もつぎ込んでいる。
適正な価格かどうか、というのは、難しいなあと思う。

最近はコンテンツがあふれているし、受け取る側の目もこえていると思う。
多くの類似商品の中から選ぶことができるわりには、
「これ」というものに、なかなか巡りあうことができない。

そして、そんなとき、
感動できないのは、感心できないのは、心を全開にして喜べないのは、
自分の感性が閉じているからではないか、と私は自分を責める。

なにかの過渡期にあるのかな。