三木卓著、講談社刊
これでも、そうかあ、児童文学作品なんだなあ。
確かに言葉づかいは、子ども向けにしているところがあるけれど、
内容は、十分に大人向けだと思う。
実際に旧満州に暮らし、命からがら本土に戻ってきた経験をもつ著者が、
過去の自分と向き合うために書かれた本書は、
自分自身と向き合うのと同時に、
早くに亡くなった父親との対話でもあったのだろうと思う。
お父さんのような人であれば、
この満州という国の欺瞞を見破っていたはずなのに、なぜ加担したのか、
という問いに対して、父は、家族を守ることを考え始めたときに、
自分は変わったと答える。
「いま」からタイムスリップした著者は、
満州の虚構から、悲しい未来を見据える。
そして、当時の自分を振り返り、恥じる。
子どもの心の中に「差別」がうまれるのは、
それは大人の影響だということが何度も出てくる。
自分も、五族協和の理念によって「差別」などしていなかったと信じてきたけれど、
心の中では、朝鮮人や満州人より自分は偉いと思っていたのではないかと。
満州国が上り調子だったとき、日本人は「偉い」から、表面的にはいい生活をしていた。
でも、人としての道をはずれた環境の中で育った子どもは、決して幸せではない。
引き上げのときに、軍に捨てていかれた開拓団の人たちは、
ソ連の侵攻から逃げながら南下する過程で、多くの方が亡くなった。
その中でも、子どもが一番の被害者だったのだと。
でも子どもは、自分の力だけで、大人の社会を変えていくことはできない。
やはり、この本は、大人が読むべきなのだと思う。
この本を手にとり、目次ページを開いたら、
本文組版のメンバーとして、前の会社の同僚の名前があった。
デザイナーとしてステップアップした友人と思わぬところで再会して、すごく嬉しかった。
これでも、そうかあ、児童文学作品なんだなあ。
確かに言葉づかいは、子ども向けにしているところがあるけれど、
内容は、十分に大人向けだと思う。
実際に旧満州に暮らし、命からがら本土に戻ってきた経験をもつ著者が、
過去の自分と向き合うために書かれた本書は、
自分自身と向き合うのと同時に、
早くに亡くなった父親との対話でもあったのだろうと思う。
お父さんのような人であれば、
この満州という国の欺瞞を見破っていたはずなのに、なぜ加担したのか、
という問いに対して、父は、家族を守ることを考え始めたときに、
自分は変わったと答える。
「いま」からタイムスリップした著者は、
満州の虚構から、悲しい未来を見据える。
そして、当時の自分を振り返り、恥じる。
子どもの心の中に「差別」がうまれるのは、
それは大人の影響だということが何度も出てくる。
自分も、五族協和の理念によって「差別」などしていなかったと信じてきたけれど、
心の中では、朝鮮人や満州人より自分は偉いと思っていたのではないかと。
満州国が上り調子だったとき、日本人は「偉い」から、表面的にはいい生活をしていた。
でも、人としての道をはずれた環境の中で育った子どもは、決して幸せではない。
引き上げのときに、軍に捨てていかれた開拓団の人たちは、
ソ連の侵攻から逃げながら南下する過程で、多くの方が亡くなった。
その中でも、子どもが一番の被害者だったのだと。
でも子どもは、自分の力だけで、大人の社会を変えていくことはできない。
やはり、この本は、大人が読むべきなのだと思う。
この本を手にとり、目次ページを開いたら、
本文組版のメンバーとして、前の会社の同僚の名前があった。
デザイナーとしてステップアップした友人と思わぬところで再会して、すごく嬉しかった。