今日のお月さまは、にっこりと笑っているようだった。
上手く撮れなかったけど1枚。
『砲撃のあとで』三木卓著、集英社文庫。
先日の『ほろびた国の旅』に続き、三木さんの満洲のお話。
三木さんの実体験に基づく、満洲からの引き揚げの話だ。
だから、主人公は小学生の少年。
戦後の混乱、なんていう言葉では収まらない世界。
外国に打ち捨てられた植民者が味わう暴力や、疫病の猛威。
堪え難い空腹と、誰のことも信じることができない不安。
ほぼ時間どおりに運行する通勤電車に乗りながら、
いつもは人が多くて不満ばかりだけど、そんなことも忘れ、
今日ばかりは、なんていまは平和なのかと思った。
なかでも私の印象に残ったのは、
少年が内地について、ふと思ったシーンだ。
大人たちは、みな内地にさえ帰ればと、内地を素晴らしいところのように語る。
でも、そもそも内地がそんなによいところであれば、
わざわざ植民者になることもなかっただろう。
内地の記憶がなく植民地で育った少年は、
そんなふうに覚めた眼で大人を見つめる。
単に、打ち捨てられた民が、そんな彼らを守る義務がある国へ帰ろうとしている、
それだけのことだと。
民を守る義務がある国。
いま、現在において、これは非常に重い言葉だと思う。
私たちの国が、この戦後の体制を始めることになった原点を、
もっとちゃんと知らなくてはならない。
上手く撮れなかったけど1枚。
『砲撃のあとで』三木卓著、集英社文庫。
先日の『ほろびた国の旅』に続き、三木さんの満洲のお話。
三木さんの実体験に基づく、満洲からの引き揚げの話だ。
だから、主人公は小学生の少年。
戦後の混乱、なんていう言葉では収まらない世界。
外国に打ち捨てられた植民者が味わう暴力や、疫病の猛威。
堪え難い空腹と、誰のことも信じることができない不安。
ほぼ時間どおりに運行する通勤電車に乗りながら、
いつもは人が多くて不満ばかりだけど、そんなことも忘れ、
今日ばかりは、なんていまは平和なのかと思った。
なかでも私の印象に残ったのは、
少年が内地について、ふと思ったシーンだ。
大人たちは、みな内地にさえ帰ればと、内地を素晴らしいところのように語る。
でも、そもそも内地がそんなによいところであれば、
わざわざ植民者になることもなかっただろう。
内地の記憶がなく植民地で育った少年は、
そんなふうに覚めた眼で大人を見つめる。
単に、打ち捨てられた民が、そんな彼らを守る義務がある国へ帰ろうとしている、
それだけのことだと。
民を守る義務がある国。
いま、現在において、これは非常に重い言葉だと思う。
私たちの国が、この戦後の体制を始めることになった原点を、
もっとちゃんと知らなくてはならない。