ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

日本で考えたこと

2012-10-07 20:31:20 | Weblog
昨日の夕方、買い物に出掛けたら、西の空に夕焼けが見えた。



日本に帰ると、家に引きこもりたくなる。
自宅は、幼い頃から住んでいる家だから、どこよりも慣れている。
ぐっすり眠れるし、空間を把握できている安心感がある。

だから、他のどこよりも居心地がいいのは当然なんだけど、
それよりも、外に出掛けたくないというのが、本音だ。
昨日のブログにも書いたけれど、夕方の商店街は特に苦手な空間。

「私は社会的に悪いことなんてしてません。道を踏み外してなんかいません。
なのに社会に押しつぶされそうなんですの」という無言の圧力が、すごく怖い。
上海に住んでいる大企業駐在員の奥様たち(通称:太太さん)は、もう少し積極的に、
「うちは勝ち組ですのよ。でももっと出世してもらわないと困るんですの。
それに見て、この中国人たち!」という雰囲気を持っている人が多くて、
これはこれで結構怖いのだけど、
他人が決めた価値観の中で、単純に偉そうにしている分だけわかりやすい。

でも「別の生き方があり得たのに、夫と子どものために、この生き方を選んだのよ」という
専業主婦たちの無言の声は、本当に恐ろしい。
高度経済成長期に、核家庭と専業主婦ができる時代があって、
男性も「正しく」働きさえすれば、どんどん生活がよくなっていった。
それは私の両親の世代なんだけど、
なんとなくあの世代の人たちのなかには、
「うちの子は悪いことしてないのに、時代が悪いのよ」というような雰囲気があって、
どうも、素直に話し合えない気がする。

すでに向上心と行動力で、中国に負けてるのに、
「自分は悪くない、うちの子も悪くない。悪いのは時代。政府」などと言っていたら、
いつか本当に、あの小さな島国から出られなくなってしまう。
中国人の10人に1人が日本に別荘を持ったら、
それだけで、日本の人口より多くなるって、結構切実な危機だと思うんだけどなあ。
防衛は軍事力ではなくて、祖国に対する愛情。
愛情は、守ってくれる両親に対するような愛情ではなくて、
どうなっていきたいかという具体的な目標と行動力のこと。

反原発は、賛否両論あって当然。
石油だけでは日本を維持できない。でも、原発を軍事目標にされたら日本は終わる。
日本はおろか、全世界が滅びるかもしれない。それが核というもの。
いま必要なのは、単なる感情論ではなくて、論理的にどんな国にしていきたいかということ。
でも、いまだに日本は世界の先進国だと信じている日本国内では、
大局的に判断するのが、なかなか難しいのではないかと思った。

もっと謙虚にならないと、取り残されてしまう。
今回、1週間ほど帰国して、本当に日本で働く自信がなくなってしまった。

日本にいた間に読んだ本。
『8・15と3・11―戦後史の死角』(笠井潔著、NHK出版新書)

終戦、大震災、日本人の乗り越え方は、遠いむかしから繋がっている。
こんなに勇気がある評論を書ける人がいるのだから、
まだまだ日本は捨てたものではないと思う。