ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

祖国

2012-10-27 00:53:32 | Weblog
なにげに仕事が忙しい時のほうが、読書量も増える。
忙しいと脳が活性化され、情報処理能力も高まるのかな。
逆に仕事が忙しくない時は、いい旅行ができるような気がする。

ということで、くたくたになりながらも、
夜、寝る前に少しずつ読み進めた本。
『ぼくらの祖国』(青山繁晴著、扶桑社刊)

TVタックルで青山さんを知り、
原発事故の後、ネットにアップされている関西地方限定の番組を見て、
ああ、すごい人だなあと思っていたので読んでみる気になったのだが、
なんとまあ、突き抜けた人なのか。

こんな人がいて、堂々と発言できるところが日本のよいとこころであり、
それでも、既得権益がガッチリしすぎていて変われないところが、
また日本的でもある。

上海にいると、よく日本人が、
「自分はもう日本人じゃない。アジア人だ!」と言うのを聞く。
日本人がそう言うと、中国人がけっこう喜ぶ。
でも、私はそんな人のとなりで地道に「日本人でありたいと思います」と言っている。
飲んでて少し機嫌がよいか、相手とケンカしてもいいと思ってる時は、
「日本を愛する地球人です」と言う。

「アジア人だ」って言う人は、それで国際的になったつもりなのかなあ、と、
心の中で疑問を感じる。
国際的な割には範囲が狭いし、得意げに言われると、なんだかむずかゆい。
先日はもう少しで「あなたの中では大東亜共栄圏がいきてるんですか?」と
言いそうになった。
上海ではいろいろな意味で身の危険を感じるジョークだから、がまんしたけど。

とりあえず「アジア人です」という日本人の発言を聞いて無邪気に喜ぶ中国人は、
あまり物事を考えないタイプの人が多い。
たいていの中国人は、基本的に感情と直感で動いていると思う。
また、比較的親日派でも、靖国の参拝は気分が悪い、と言う。
つまり、日本人のアジア人発言を喜ぶ人が多い。

そんな人たちに、私が「日本人でありたい」と言っても、ほぼ確実に伝わらない。
「国籍が日本じゃん!」と突っ込む人はまだマシなほうで、
「こいつの中国語へたくそで、なに言ってんのかわかんねー」が、多くの反応だ。

日本人って、国旗に敬礼するわけでも、国歌を熱唱して団結するわけでもなく、
血液型で言うとA型が多そうな感じ、というくらいの漠然としたイメージしかなくて、
私はAB型だから、マイノリティなんです、日本で肩身狭いんです、みたいな印象。

もっとちゃんと、祖国を考えたい。
そうじゃないと、なんでいま日本に生まれて来たのか、わからない。

上海で読んでよかった本だ。
日本で読んだらまた違った影響を受けただろうけど、
私が出会うタイミングとしては、上海がバッチリだった。