神のいない世界の歩き方(リチャード・ドーキンス/ハヤカワNF文庫)
進化論の権威であるドーキンス博士は、無神論についてどのように語るのか。その興味から、本屋で見かけてすぐに買ってみた本。
冒頭から、神が非常にたくさんいることを論じ、順をおって、神の存在の不合理さを、少しくどいくらいに説明していく。訳者あとがきで、この本が「自分で判断できる年齢になったすべての若者たち」向けだとわかり、なるほど、と納得した。ドーキンス博士は、本気で若者を説得するために、15歳まで信じていたキリスト教の教義を捨てるまでの思考過程を再現しているのだ。
いまや、進化論を本気で否定する人はあまりいない(アメリカ合衆国などの例外はある)。しかし、宇宙のはじまりなど、科学で解明されていない部分に神の存在根拠を求める傾向は根強いから、勇気を持って、科学の力を信じよう、という呼びかけで終わる。
ユヴァル・ノア・ハラリが『サピエンス全史』において示したように、宗教は、ある時期、大規模な集団を統合するために有用だったが、今となってはむしろ、負の側面が強まっている、というのが妥当な考え方だと思う。しかし、宗教は一筋縄ではいかない。
たとえば理論物理学者はみんな、当然に無神論者かというと、決してそうではない。無神論者であることを公言していたホーキング博士はむしろ少数派だ。(ちなみに彼が提唱した「無境界仮説」は、宇宙のはじまりに神は不要(特異点は存在しない)というもの。)
また、日本人には、神様も仏様も本気で信じてはいないが、なんとなく来世があると思っている人が多いのではないか。
進化論の権威であるドーキンス博士は、無神論についてどのように語るのか。その興味から、本屋で見かけてすぐに買ってみた本。
冒頭から、神が非常にたくさんいることを論じ、順をおって、神の存在の不合理さを、少しくどいくらいに説明していく。訳者あとがきで、この本が「自分で判断できる年齢になったすべての若者たち」向けだとわかり、なるほど、と納得した。ドーキンス博士は、本気で若者を説得するために、15歳まで信じていたキリスト教の教義を捨てるまでの思考過程を再現しているのだ。
いまや、進化論を本気で否定する人はあまりいない(アメリカ合衆国などの例外はある)。しかし、宇宙のはじまりなど、科学で解明されていない部分に神の存在根拠を求める傾向は根強いから、勇気を持って、科学の力を信じよう、という呼びかけで終わる。
ユヴァル・ノア・ハラリが『サピエンス全史』において示したように、宗教は、ある時期、大規模な集団を統合するために有用だったが、今となってはむしろ、負の側面が強まっている、というのが妥当な考え方だと思う。しかし、宗教は一筋縄ではいかない。
たとえば理論物理学者はみんな、当然に無神論者かというと、決してそうではない。無神論者であることを公言していたホーキング博士はむしろ少数派だ。(ちなみに彼が提唱した「無境界仮説」は、宇宙のはじまりに神は不要(特異点は存在しない)というもの。)
また、日本人には、神様も仏様も本気で信じてはいないが、なんとなく来世があると思っている人が多いのではないか。