栞(しおり)と嘘の季節(米澤穂信/集英社)
昨年11月発行の、米澤穂信氏の新作。(半年のタイムラグは、最寄り図書館で予約なしで借りられるまでの期間。)
タイトルから類推されるとおり、『本と鍵の季節』の続編。
読み始めるとすぐに、引き込まれた。冒頭にウンベルト・エーコの『薔薇の名前』が出てきたのも、その理由のひとつだ。短編連作ではないのだが、ほぼ一気読みの面白さ。その要因は、日常の謎のようでいて、いくらか犯罪のにおいもする密度の濃い謎と、二人の主人公の魅力だろう。
図書委員同士という関係を基本に、謎をとくために協力するが、それ以上はお互いに踏み込まないという、独特の関係性。二人の推理と言葉のやりとりが生み出す、緊張をはらんだハーモニー。これはつまり、シリーズ2作目だからこその完成度なのだと思う。(いや、1作目も十分におもしろい。)
だから、まず1作目を読んでから、こちらを読むことをお勧めする。あちこちに1作目のエピソードに関する言及があるし、1作目の結末で明かされなかった事情が確認される、印象的な場面もある。
で、この作品でも、結末ですべてが明らかになるわけではない。作者は、このシリーズを、そのような形で続けるつもりなのだろう。古典部シリーズとは別の作品としたのも、十分にうなずける。
タイトルが内容をよく表しているのもいい。読んだ後に、改めてそう思うはずだ。タイトルでネタバレという例もあるが、この作品では、むしろ完成度を上げている。
昨年11月発行の、米澤穂信氏の新作。(半年のタイムラグは、最寄り図書館で予約なしで借りられるまでの期間。)
タイトルから類推されるとおり、『本と鍵の季節』の続編。
読み始めるとすぐに、引き込まれた。冒頭にウンベルト・エーコの『薔薇の名前』が出てきたのも、その理由のひとつだ。短編連作ではないのだが、ほぼ一気読みの面白さ。その要因は、日常の謎のようでいて、いくらか犯罪のにおいもする密度の濃い謎と、二人の主人公の魅力だろう。
図書委員同士という関係を基本に、謎をとくために協力するが、それ以上はお互いに踏み込まないという、独特の関係性。二人の推理と言葉のやりとりが生み出す、緊張をはらんだハーモニー。これはつまり、シリーズ2作目だからこその完成度なのだと思う。(いや、1作目も十分におもしろい。)
だから、まず1作目を読んでから、こちらを読むことをお勧めする。あちこちに1作目のエピソードに関する言及があるし、1作目の結末で明かされなかった事情が確認される、印象的な場面もある。
で、この作品でも、結末ですべてが明らかになるわけではない。作者は、このシリーズを、そのような形で続けるつもりなのだろう。古典部シリーズとは別の作品としたのも、十分にうなずける。
タイトルが内容をよく表しているのもいい。読んだ後に、改めてそう思うはずだ。タイトルでネタバレという例もあるが、この作品では、むしろ完成度を上げている。