それでも旅に出るカフェ(近藤史恵/双葉社)
この作者の『ときどき旅に出るカフェ』は、2021年1月に紹介した。
続編が書かれたのは意外だったが、コロナ禍の影響が大きいのではないか、と感じている。コロナ禍をめぐる社会情勢の中で、さまざまな「生きにくさ」が描かれているような気がする。
コロナ禍で、旅行も飲食店も大きな打撃を受けた。世界各地のお菓子や料理が出てくるので、旅に出たような気分になれる「カフェ・ルーズ」は、まさしくその渦中にあって閉店しているようだ。物語は、店の客である女性の視点で描かれているが、実質的な主人公がカフェの店主であるのも、前作と同様。
物語は短編連作のスタイルで進んでいく。毎回、特殊事情を抱えた人物が登場し、カフェにかかわることで、少し状況が改善する。おいしさには、確かに、人を癒す力がある。
毎回、各国のおいしいものも登場して、それが各章のタイトルになっている。物語とマッチした「おいしいもの」を探すのは簡単ではないだろうから、多くの作品を期待するのは難しいかもしれないが、続けてほしいシリーズ。
いずれにしても、今作で、私にとっては『ビストロ・パ・マル』シリーズと並ぶ大好物になった。
画像は、書影とは関係のないイメージ。
この作者の『ときどき旅に出るカフェ』は、2021年1月に紹介した。
続編が書かれたのは意外だったが、コロナ禍の影響が大きいのではないか、と感じている。コロナ禍をめぐる社会情勢の中で、さまざまな「生きにくさ」が描かれているような気がする。
コロナ禍で、旅行も飲食店も大きな打撃を受けた。世界各地のお菓子や料理が出てくるので、旅に出たような気分になれる「カフェ・ルーズ」は、まさしくその渦中にあって閉店しているようだ。物語は、店の客である女性の視点で描かれているが、実質的な主人公がカフェの店主であるのも、前作と同様。
物語は短編連作のスタイルで進んでいく。毎回、特殊事情を抱えた人物が登場し、カフェにかかわることで、少し状況が改善する。おいしさには、確かに、人を癒す力がある。
毎回、各国のおいしいものも登場して、それが各章のタイトルになっている。物語とマッチした「おいしいもの」を探すのは簡単ではないだろうから、多くの作品を期待するのは難しいかもしれないが、続けてほしいシリーズ。
いずれにしても、今作で、私にとっては『ビストロ・パ・マル』シリーズと並ぶ大好物になった。
画像は、書影とは関係のないイメージ。