さいかち亭雑記

短歌を中心に文芸、その他

身めぐりの本

2016年10月10日 | 
 以下は、主として買った古書の話なので、興味のない方は、別にお移りください。 ※これは、しばらく消してあったが、本好きの人間にはおもしろいだろうと思うので、復活させる。

 だいたい本など一度に読めるものではないし、また、一冊を全部読まなくてはならないというものではない。そうすると、放ってある本がいつまでも片づかないということにはなるのだけれども、全部読んだら読んだで、そんな本はそう多くはないわけだから、それはむしろ大事な一冊であろう。読み終えたら、その本はすぐに処分できるというものでもない。読みかけの本を読むきっかけは、だいたいが偶然に左右される。 そういう意味では、積んである本が崩れるのは、たいてい一つのきっかけになる。

数年前の引っ越し以来、私の蔵書の整理はめちゃくちゃのままで、その上に新刊が重なっていくので、もうどうにもならない。別にめずらしい本があるわけではないのだが、最近は自分がそれを持っていたこと自体ほとんど忘れているので、「こんな本があったんだ」と新鮮に感ずることが多くなった。坐っている机と椅子のまわりから気になったものを拾いだしてみることにする。

 どれも古書で500円以内のもの。
興津要『落語と江戸っ子』(昭和48年刊)。
木村尚三郎『文化の風景』(1997年刊)。
安東次男『木枕の垢』(1981年刊)。
谷沢永一『机上の劇』(昭和五十八年刊)。
大江健三郎『言い難き嘆きもて』(2001年刊)。
川村二郎『日本廻国記』(昭和六十二年刊)。
平岡正明『スラップステイック 快人伝』(1976年刊)。
田村隆一『新年の手紙』(昭和四八年刊)。
石田周一『耕して育つ』(2005年刊)。
片山洋次郎『整体 楽になる技術』(2001年刊ちくま新書)。

 井辻朱美訳ローズマリー・サトクリフ『トリスタンとイズ―』。
これは800円した。あとは古書展などで買った納得の行く本と、わざわざ注文して買った本。
安藤鶴夫『三木助歳時記』(昭和50年旺文社文庫)800円。
北原白秋『渓流抄』(昭和十八年刊)324円。
島津忠夫『連歌師宗祇』(1991年)700円。
松本健一『戦後の精神』(1985年刊)。

 上にあげた本は、全部読んだものが一冊もない。今書きだしてみて思ったのだが、みごとに一部拾い読みに向いている本ばかり集めてある。頭の調子を調整したり、当面集中している事柄から外したりするための本と言えるかもしれない。これも固定してあるわけではないので、何か月かの間に、別の本と交代してどこかに行ってしまうのである。

 新刊もあげておこう。
五木寛之『日本幻論 漂泊者のこころ 蓮如・熊楠・隠岐共和国』(ちくま文庫2014年)。
木山捷平『氏神さま 春雨 耳学問』(講談社文芸文庫2013年第七刷)。
『日本文学全集20 吉田健一』(2015年河出書房新社)。
文月悠光『屋根よりも深々と』(2013年思潮社)。
斉藤斎藤『人の道、死ぬと町』(2016年刊)。
この本は出たばかりである。評判になるにちがいない。

最後に、岡井隆『詩の点滅』(角川書店2016年刊)。
これは岡井さんの最新刊の本だ。岡井先生がいたから私は路頭に迷わないですんだようなものなので、岡井隆は私の一番の文学的恩人である。 


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