最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されないものがあります。ご容赦ください。

オークションに出品される署名入り本

2018年07月04日 | 署名本





ネット・オークションには結構な数の「署名入り本」のが出品されています。好きな作家でしたら、その肉筆署名が入っていれば、とてもありがたいと思うものですが、その気持ちに付け込んだニセモノが横行しています。

アイドルの偽サインも多いようですが、署名があるだけで、ふつうの初版本の数倍の値が付くわけですから、ボロイ儲けになるとでも思うのでしょう。署名入り本ばかりを出品している何人かの中には、署名を偽造したものが多数含まれているケースがあります。

専門家ではありませんが、署名本を多く見てきていると、明らかにニセモノであることがわかるものがあります。三島由紀夫、川端康成、安部公房、開高健、村上春樹、庄野潤三、星新一……。特に好きな最後に名を挙げたの二人の作家のものは、一目でニセモノとわかります。こんな字は書かないと。

こんな例が実際にありました。先日終了した川端康成氏の署名入り本。この本は落札されましたが、奥付を見れば明らかですが、川端さんが亡くなった後に出版されたもの。出品した人はどうやって天国まで川端さんに署名を貰いに行ったのでしょう。


私のコレクション 木山捷平 『石垣の花』(署名入り)

2012年03月21日 | 署名本





全著作の収集を目指した作家には何人かいますが、完蒐に至ったのは「第三の新人」といわれる作家のひとり、庄野潤三だけです。
井伏鱒二のように著作が多いと、最初から無理だと諦めてしまうところもありました。

井伏鱒二や庄野潤三とも交流があった木山捷平という作家をご存知でしょうか。生誕の地、笠岡市が木山捷平文学賞を設けています。
戦前の作品は数は少ないとはいえ、残存数が少ないために、手に入れるのはかなりむずかしいのです。ですから、途中で戦前の作品を手に入れるのは諦めて、戦後の作品だけを蒐めてきました。そんなにむずかしくはないのですが、すぐにゾッキ本になってしまったものもあり、きれいな状態のものを手に入れるのにはむずかしさがあります。



本自体はよくありますが、帯が付いているものは少ないです。
この本は神保町の某有名店で入手しました。ふつうの初版本の値段でした。

ところが、この本は献呈署名入りでした。


良く見えないと思うので、署名部分だけを拡大します。


この本には、こんな8ページの折込が挟み込まれています。


この折込は表紙と見返しの間に挟まれていて、本を開いたときに折込で署名部分がちょうど隠れてしまうので、古書店主も気づかなかったようです。
そんなこともあるんですね(^o^)