最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されないものがあります。ご容赦ください。

「取締役社長 星 親一」名の葉書

2021年04月06日 | 
裏面に「定時株主総会招集御通知」と印刷されている、1951年の(お年玉くじ1円の寄付金付)官製年賀状です。(当時の葉書の郵送料は2円)
 
星 新一(本名:星 親一)の父、星 一(ほし・はじめ)は星製薬の創業者として知られています。
星新一が東大大学院に在籍していた1951年1月19日、父がロスアンゼルスで客死したため、急遽、大学院を中退して星製薬の取締役社長に就任(1月21日)することになりました。
その頃には、すでに星製薬は経営が傾いていて、翌年(1952年6月)、ホテルニューオオタニの創業で知られる大谷重工業の大谷米太郎に譲渡することになるわけですが、その前後の日々は、本人が「思い出したくもない」と言うほど苦難の連続だったようです。
 
 
1952年6月には社長を退任して、副社長になっているので、取締役社長として定時株主総会を招集したのは、おそらくこの1回だけだったのではないかと思います。それだけに、「取締役社長 星 親一」と記載された資料は貴重だと思います。
 
星コレクターとして、50年以上にわたって星新一著作や星製薬の資料を集めてきましたが、「取締役社長 星 親一」と表示されている資料は、初めて目にしました。
 
 
 
 

私のコレクション 星製薬関連資料 新薬 ホシ小児虫薬

2016年03月16日 | 





「ホシ小児虫薬 内用丸薬」
顧問として野口英世と杉本順造の名前が記してあります。 




定価は10銭で、袋の裏側には定価の1割に相当する1銭の収入印紙が貼ってあるので、これも大正時代のものと思われます。



未開封ですが、袋の上から触ると、細い円筒形のものに納められているようです。







私のコレクション 星製薬関連資料 新薬 ホシ下剤

2016年03月14日 | 





「ホシ下剤 内用丸剤」30粒入り定価5銭。
顧問として米国名誉医学博士、医学博士の肩書の野口英世先生と、ドクトル杉本順造先生とふたりの名前が記載されていますが、有名な野口英世と肩を並べている杉本順造とは一体誰なんでしょう。

        



袋の裏側には定価の1割に相当する5厘の収入印紙が貼ってありますので、これも大正時代のものと思われます。

        


この袋は30粒入りですが、70粒入りになると定価10銭で、10粒増量と表示されています。

未開封ですが、袋の上から触ってみると、丸薬らしきものが入っているのがわかります。





私のコレクション 星製薬関連資料 ホシ複方鹽剥散

2016年03月12日 | 





「口中良薬 ホシ複方鹽剥散」とムズカシイ感じが並んでいて、なんと読むのか……。
「複方」は複数の薬剤を調合した薬のことで、「鹽」は「塩」の旧字。「剥」は剥離(はくり)の剥ですから「はがす」ということなんでしょう。「散」は「胃散」のように、不快感が去り爽快感が残るというような意味でしょうか。漢字に付けられたフリガナは「ホシ ウガイグスリ」となっています。
読み方の答は袋の上の方、英文表記部分にありました。HOSHI ENBOTSUSAN 「ほしえんぼつさん」と読むようです。

―星標漱口散― とも書いてあります。
星製薬の「星」、「標」は商標登録してあるということか、「漱」の字は夏目漱石の名の由来が語られるときに聞いたことがあると思います。「流れに漱(くちすす)ぎ石に枕す」……星ブランドのうがい薬で、使うとサッパリしますよ ということなんでしょうね。


        


        


袋の左側にはハングル文字での表記もあり、3包入りで定価は20銭。
「用法」「主治効能」は日本語・ハングル・中国語で表記してあります。

袋の裏側には1銭の収入印紙が2枚貼られています。
定価20銭の10%は2銭ですから、売薬印紙税制下の大正時代のものです。






私のコレクション 星製薬関連資料 ホシ ペプシン錠

2016年03月09日 | 





これも未開封の瓶入りのホシペプシン錠(30錠入り)です。高さ6.5㎝の紙製の箱に入っていますが、収入印紙ではなく、HOSHI SEIYAKUKABUSIKIKAISHA-TOKYO という文字が星製薬のNのマークを囲んでいる円形の封緘シールで封がしてあります。

        


        


        


        

細長いガラス瓶に入っています。

        


        


効能書き

        


定価表示はどこにもなく、収入印紙が貼ってないので、昭和に入ってからのものと思われます。

その頃の星製薬のカタログを調べてみないといけないですね。








私のコレクション 星製薬関連資料 小児風薬

2016年03月07日 | 





大正時代のもののようです。高さ6センチほどの小さな箱には、定価20銭と表示されていて、箱の蓋は2銭の収入印紙で封がされています。
これから紹介していく紙袋に入った薬(「ホシ小児虫薬」「ホシ複方鹽剥散(ホシウガイグスリ)」「ホシ下剤」)も、紙袋には定価の1/10の収入印紙で封がされています。
薬と収入印紙はヘンな取り合わせですが、そのことからこの薬の時代が推定できるかもしれません。


        


【用法】は、1歳以下は1日3回1匙宛、1歳より2歳迄 1日4回1匙宛、2歳より3歳迄 1日6回1匙宛……と年齢が増すにつれて、服用する量が増えていきます。

        

匙といわれてティースプーンを思い浮かべてしまったので、この小さな箱に入っているのは1回の服用分ほどしか入っていないのでは? と思ってしまいました。

        


         

未開封でしたが、開けてみることにしました。 

        

出てきたのは更に小さなガラス瓶に入った粉薬様のものと、耳かきの数倍ほどの大きさの金属製の匙でした。

        

箱の中には、折りたたまれた効能書きも入っていました。両面印刷です。

オモテ
        


ウラ
        


小児専門の薬として販売するのは、国内唯一と謳っています。



【記事アップ後の追記】
調べてみると、「売薬印紙税」という税制があり、明治16年1月から売薬には定価を付け、その10%の額面の収入印紙を貼らなければならなくなったそうです。この税制が廃止されたのは大正15年なので、この薬は大正時代のものと判断できます。









  

私のコレクション 星製薬関連資料 ホシアンチツベルケン

2016年01月27日 | 





星製薬が販売していた製品のひとつ。
「ホシアンチツベルケン」という名称で肺結核、肺尖カタル、肋膜炎、気管支カタルなどに効能があると謳っています。

  その効能書き(表)



  効能書き(裏)



  箱(表)



  箱(裏)



  薬瓶



大人の1回分の服用量(6グラム)を量るための赤いお猪口が付いています。
「1日3回、同量の水で溶いて食後15分に服用す」となっています。
1瓶は45グラム入りなので、計算すると、2.5日分と中途半端な量です。
箱には定価の記載がありません。






私のコレクション 星製薬関連資料 ホシ外用せき薬 釜伏丹

2014年10月28日 | 





星製薬が販売していた薬の中から、「ホシ外用せき薬 釜伏丹」



ホシ外用せき薬 釜伏丹 袋(オモテ)。




ホシ外用せき薬 釜伏丹 袋(ウラ)。




ホシ外用せき薬 釜伏丹 袋と中袋。中袋には黒い粉が入っていました。




ホシ外用せき薬 釜伏丹 効能書き。




ホシ外用せき薬 釜伏丹 貼用ノ注意。




黒い粉を食塩水で練り、足の土踏まずに貼りつけるという湿布薬。

こちらは星製薬が製造していたものではなく、発売元になっていたものです。




【追記】
「釜伏丹」で検索したところ、一般社団法人 北多摩薬剤師会のHP、「おくすり博物館」の中に
「昔はこんな薬もありました 4 ~変な外用薬~ 」として、この釜伏丹が取り上げられていました。

 ご興味のある方はご覧ください。
 → http://www.tpa-kitatama.jp/museum/museum_11.html








私のコレクション 星製薬関連資料 ホシ嬰児胎毒下し

2014年10月27日 | 





星製薬が販売していた薬の中から「ホシ嬰児胎毒下し」


ホシ嬰児胎毒下し 袋(オモテ)




中には袋が2つ入っていました。




ホシ嬰児胎毒下し 袋(ウラ)と中袋、付属品。




中袋のうち、白い袋にはガーゼで出来ている「乳頭」が入っていて、水に溶かした薬を染ませ、
嬰児にちゅうちゅうと吸わせるようになっています。








私のコレクション 星製薬関連資料 ホシ胃腸薬

2014年10月21日 | 





星製薬でいちばん有名なのが、ホシ胃腸薬。

古いもので未開封で中には薬が入っていますが、当然のことながら有効期限切れです。




側面。



ハングル文字が見えます。




現在の星製薬のノベルティーの貯金箱と一緒に。




定価金50銭とあるので、カタログで調べれば、およその年代がわかると思います。
















私のコレクション 星製薬関連資料 星製薬製品カタログ

2014年10月05日 | 





星製薬の事業は多岐に亘っていたようですが、一番著名なのはホシ胃腸薬に代表される医薬品です。
この惹句が「百万円でも」というチラシ、宣伝文句を現代文にすると、こんなふうに謳っています。

「君の強健なその胃の腑を百万円出すから僕に売ってくれ給え……と言われたところで、こればっかりは出来ない相談。けれどもここに良法あり、金20銭を投じてホシ胃腸薬を求め常に服用試みられよ。いかなる胃腸の患いもすぐに直って、百万円でも買えない強健な胃腸にたちまちなれる」



今の時代では、誇大広告で公正取引委員会から勧告を受けそうですね。


その裏面には製品一覧が載っています。


資本金が1千万円とあるので、大正8年から大正10年6月までの間のチラシということが分かります。


下のチラシでは資本金が2千万円となっているので、大正10年7月から大正12年8月の間のチラシだということが分かります。





「生命の延長 ― ホシの製品 ―」と題した小冊子は、一般消費者向けのもののようで、
その中に資本金の推移表があったので、上記のチラシの発行時期がわかりました。

その冊子の表紙。発行時期は大正12年9月以降ということになります。




資本金の推移は以下のようになっていました。
明治40年 400円
明治41年 5千円
明治43年 2万5千円
明治44年11月 50万円
大正6年12月 100万円
大正7年10月 500万円
大正8年11月 1000万円
大正10年7月 2000万円
大正12年9月 5000万円

その裏表紙。




冊子の右上にハトメの穴があるために、ページがうまく開けません。
紐を通して、いつでも手に取れるような所に吊り下げておいてほしいということだったのでしょう。

この冊子と同じ頃に発行されたと思われる「星の組織と其事業」という冊子は「星製薬株式会社の本領」に始まり、事業内容を解説しているので、これはどうやら販売代理店の研修で使われたもののようです。

その表紙。




裏表紙。




この冊子は開きが良いので、製品一覧のページを紹介します。








製品が薬だけではなく、化粧品、食品など多岐に亘っていて、協力関係を結んだところの製品を含めると、総合商社のようです。


デザインが目を惹く日本酒のラベルも紹介しておきます。






















私のコレクション 星製薬関連資料 ちらし類

2014年10月02日 | 





そもそもは星新一さんの著書『人民は弱し官吏は強し』や『明治・父・アメリカ』などで、父親の星一氏のことを知ったからでした。
星一氏が創業した星製薬の関連資料を、目につくたびに(財布と相談しながら)集めてきました。
その数はまだまだ多くはありませんが、広告宣伝のための「ちらし」やポスターのデザインは、今見ても目を引く新鮮さがあります。

今回は「ちらし」をご覧ください。大きさは27センチ×19.5センチほどがほとんどで、A4判よりひと回り小さいサイズです。
細長いホシアンチツベルケンのものは50センチ×25センチほどです。

ホシアンチツベルケン。





ホシオペラ。



ホシチオール。





ホシチヤーコール。



ホシヘデキユーア。



ホシ胃腸薬。



ホシ化粧石鹸。



ホシ感冒錠。



ホシ實母湯。



ホシ小児専門薬。


いろいろな薬の他に石鹸まで出していたのかと思われるかもしれませんが、化粧品も出していました。

これは23センチ×31センチとひと回り大きく、月1回発行していた新聞「社報」104号の付録です。


星製薬が扱っていた製品の種類はもっといろいろあり、現代のドラッグストアが扱う、食品を含めた商品が揃っているのには驚かされます。次は星製薬のカタログを紹介します。