最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されないものがあります。ご容赦ください。

【新刊のご案内】 ティニ・ミウラの手造り豪華本 1990-2015

2016年06月16日 | ルリユール



ケルスティン・ティニ・ミウラ6冊目となる作品集です。
およそ25年間に制作した約1000点の中から厳選した手造り革装本123点、デザインした37点の合計160点を掲載しています。




函ジャケットに使われているのは『アラビアン・ナイト』Arabian Nights (サンフランシスコのアーレン・プレスから1980年限定200部で発行された同書を、青のモロッコ革に多様種の革のオンレイ装飾とプラチナ、金などの箔押しの技法を駆使して豪華な手造り総革装本に仕上げています)
見返し:金と銀の装飾革と青・緑の仔牛革。
遊び紙:オーログラフ。
花布:緑・エメラルドグリーン・ネイビーブルーの3色の絹糸による手縢り。
小口:三方金。
シミーズ:青のモロッコ革とマーブル・ペーパー青紫のスウェード。

『ティニ・ミウラの手造り豪華本 1990-2015』勉誠出版 2016年6月23日発行 
B4判 総カラー226ページ 定価19,440円(本体18,000円)



昨年の秋口から、この本の校正作業のお手伝いを始め、紆余曲折あったものの、ようやく上梓することが出来ました。
出版不況下での高価な豪華本ですから、店頭で目にする機会は少ないと思いますが、お目に留まったら、ぜひお手に取ってご覧ください。
高くて買えないとおっしゃらずに、お近くの公共図書館にリクエストしてください!


詳細は勉誠出版のHPをご覧ください。AMAZON経由で版元直送も可能です。










私のコレクション 自作ルリユール本 『愛書狂』

2015年06月04日 | ルリユール





ケルスティン・ティニ女史のアトリエに通って、手ほどきを受けながら作った本がもう1冊ありました。

生田耕作編訳『愛書狂』(白水社1980年)の市販本をルリユールしたもの。

使ったマーブル紙は、専門店で購入したものです。


                                        右はシミーズ。



タイトルと著者名は別の革に金箔押し。(本に直接タイトルを箔押しすると、失敗した時に救いようがないため)













この時期だから出来たと言えるもので、緻密な作業を継続する根気は、既に喪われています。












私のコレクション 星新一(24) 気まぐれロボット 自作ルリユール

2014年01月18日 | ルリユール





部屋を片付けて、ようやく出てきました。あのケルスティン・ティニ・ミウラ女史のアトリエに何日も通って、ティニさんがお使いの製本道具類を使わせていただき、手ほどきまで受けて仕上げた1冊です。プロが使う道具類は、とても使いやすかったです。
自分が好きな作家の中で、見栄えのする大型の本というので選んだのが、星新一著『気まぐれロボット』(理論社 1966年7月)。

元の本(ハードカバー、角背、函)を全部解体して折丁ごとにし、綴じ直したものを丸背に変え、背とエッジを革、平の部分はマーブル紙貼りにし、函帙を作りました。



地の小口部分の拡大。丸味出しをして丸背に仕上げてあります。



函帙は紫色のクロス貼り。内側は赤色のフェルト貼り。



タイトルと著者名は別の革に金箔押し。(本に直接タイトルを箔押しすると、失敗した時に救いようがないため)



タイトル部分のアップ。



花布は編まずに、表紙より淡い色の革で紙芯を巻いたもの。



函帙に載せて、背の部分。



駆け出しの素人が造ったにしては、なかなかのものだと思いますが、今作れと言われてもこの時の集中力は無いし、老眼は進んでいるし……
まず、無理です(T_T)

 ※この本が入っていた元の函は、コレクションが函欠の裸本だった方に差しあげて、喜ばれました。