最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されないものがあります。ご容赦ください。

星新一の著作をコレクションする(14) 最終回 付:変更点のまとめ

2016年05月25日 | コレクション





次から次へとぽろがぽろと出てきて、キリがなくなってきた感がありますが……。

これで最後にすると公言した手前、追加は文末にまとめ、そこから元記事にリンク出来るようにします。



『きまぐれロボット』日本標準 あおぞら文庫4-3(中学年向き)
発行年月日の表示なし 150円
 


角川文庫『きまぐれロボット』より、「きまぐれロボット」「火の用心」「ネコ」の3編を収録した副読本。 



この表紙デザインのものはビニールケースに入った「あおぞら文庫」(中学年向き)セットの中の1冊で、発行年月は不明です。




紙製のセット函に入った、こちらの方が古いと思われるもの。
紙製の函。表示は「あおぞら文庫」になっています。


表紙デザインは上のものとは少し違っていて、漢字で「青空文庫」と表示されています。
4年-№2 学校納入定価100円。






本ではありませんが『作家 自作を語るというCDブックがありました。
『CD-ROM版 作家自作を語る一』新潮社 1998年3月30日発行 2500円(税別)




ウラ面。星さんは『たくさんのタブー』について語っています(赤丸印部分)。


動作環境は Windows95 です。




『やっかいな関係』青龍社 1991年6月20日発行 2400円








単独著作ではないので、今回の記事の趣旨から外れますが……。
作品が収録されているアンソロジーの中で、コレクションに苦戦した1冊。

『あたらしい日本の童話 4年生』実業之日本社 昭和42年7月15日発行 350円




ウラ表紙。収録作品は「ネコ」。





『おーい でてこーい』講談社青い鳥文庫 2001年3月15日発行 620円(税別)
この本にはSLシリーズのハードカバー版があります。(SLとはSchool Libraryの略)
所蔵本は2007年7月31日発行 3刷 1000円(税別)



右が市販本、左がSLシリーズ版。


『きまぐれ星のメモ』角川文庫 昭和46年5月30日発行 260円
この本にはハードカバー版があります。
所蔵本は昭和50年10月20日発行 15刷 定価記載なし



右が市販本、左がハードカバー版。



同じ角川文庫には『きまぐれロボット』のハードカバー版もあります。
所蔵本は昭和54年5月30日発行 39刷 定価記載なし


ミリオンセラーを記念して著者にプレゼントされた総革装本は、前にも紹介しているので、表紙見開きの画像を載せます。



所蔵本は昭和57年9月30日発行 51刷で、1983年10月1日に星さんの署名をいただいています。





『月の光』ギャラリー・イヴ 2007年6月1日発行 限定1000部 
限定番号記載あり 3500円






最後は星新一ファンクラブ「エヌ氏の会」の特製本を、画像を追加して再録します。
星新一さんを囲む会(星コン)の参加者に配ったものです。

市販の文庫本『気まぐれ体験紀行』をハードカバーにしたもの。星さんの署名・落款入り。
過去記事で紹介済みですが、何種類かある表紙を並べます。前に紹介した1種と合わせると、4種類になるのかな? 記憶がちょっとアヤシイです(-_-;) 
函を作る時間的余裕はなかったので、パラフィン紙を巻いただけでした。










市販本の『凶夢など30』をハードカバーにして、函に収めたもの。星さんの署名・落款入り。
過去記事で、ほとんどを紹介済みです。この本も、紺と白の2種類のクロスを使用したことを思い出しました。




本の背と函の背。箔押しに用いる「凶」というベントン活字が無かったので、本の背の箔押しは「星新一氏健筆25周年記念」にしました。(鉛活字で箔押しをすると、熱と圧力で次第に活字がつぶれてしまうのです)函は手作りの貼函で、背文字は写植を使用。

          



特別付録として、銅版画家の深沢幸雄氏に依頼し特別に作っていただいた星新一書票(蔵書票)が挟みこんであります。



(深沢氏に作成していただいた書票を1冊にまとめたものを前に紹介しました。 →こちら 



お遊びで作った売上カード。ISBNコード部分は星コン開催日にしてあります。

          



執筆開始から25年という節目の年の星コンだったので、気合を入れて作りました。

星コンの参加者全員にエヌ氏の会特製本を配ったのは、この2回だけでした。




ショートショート1001篇達成後の星コンでは、早川書房の世界SF全集の『作品100』を解体して綴じ直し、お遊びで3部だけ作った『作品千分の百』なんていうのもありました。



元本は↓。 手元に1冊しかないのは、この時に3冊バラしてしまったからですね。






最後だったらと、あれもこれもになり雑然とした内容になってしまいました。
目配りが出来ずにモレているものがあるかもしれません。お気づきの点がございましたら、コメント欄でご指摘ください。
随時、追加、加筆、訂正をしていきます。
 

【5/27 追記 変更点をまとめておきます】
※「星新一の本をコレクションする(1)」で紹介した『人造美人』に、その初版ウラ、10刷のオモテとウラの画像を追加しました。
※「星新一の本をコレクションする(6)」で紹介した『夢魔の標的』の「初版と紛らわしい奥付の後版」について、発行年の訂正と画像の追加をしました。
※「星新一の本をコレクションする(12)」で紹介した『星新一作品集』の署名部分の画像を4枚追加しました。
※「星新一の本をコレクションする(12)」に「小金井氏家譜」の画像を追加しました。


※これまでに紹介したもので、ここにまとめておいた方が良いものを、以下に挙げておきますのでご参照ください。

※『人造美人』特装本 
※紙芝居「あーん あーん」
※私家版『花とひみつ』は記事が2つありました。こちら と こちら 





 
 


星新一の著作をコレクションする(13) 拾遺その2

2016年05月24日 | コレクション




12回の記事で漏れたものを並べておきます。順不同です。


新潮社 新潮 pico文庫 平成8年3月15日発行 150円


この本のように販売期間が短く、発売されたときに買っておかないと手に入らなくなるものもあります。




『おのぞみの結末』いんなあとりっぷ社 昭和50年2月15日発行 530円
 この本には色違いの帯があります。

黒帯




青帯


青帯の方が数が少ないように思います。




翻訳絵本『トマニ式の生き方』(文)クリスチーネ・ネストリンガー/(絵)ヘルメ・ハイネ
 エイプリル出版 1978(昭和53)年10月20日発行 980円

アクリルカバーが付いています。



ウラ表紙。「訳者のことば」はアクリルカバーに印刷してあります。



アクリルカバーを外すと、ウラは白です。




絵本を紹介したついでに、
フレーベル館発行『はなとひみつ』も紹介しておかないといけないですね。

①キンダーおはなしえほん 昭和53(1978)年3月1日発行 団体購読価格200円 ソフトカバー版




②キンダーおはなしえほん傑作選46 1979年10月発行 700円 ジャケット付ハードカバー版




③キンダー名作選 1989年3月1日発行 団体購読価格250円 ソフトカバー版




④おはなしえほんベストセレクション 2001年1月1日発行 330円 ソフトカバー版




⑤おはなしえほんシリーズ17 2009年4月発行 1200円+税 ジャケット付ハードカバー版




翻訳つながりで、 
『フレドリック・ブラウン傑作集』サンリオ文庫 1982年2月15日発行 580円

ウラ表紙にある著者紹介文が2刷から変更になっているのだそうです。折々、コメントをいただく高井信さんからの情報です。→ こちらをご覧ください




英訳の「おーい でてこーい」が掲載された
 "FANTASY and SCIENCE FICTION" 1978年11月号 $1.25

"HE-Y COME ON OU-T!"というタイトルになっています。



英文つながりで、
"THE SPITEFUL PLANET AND DTHER STORIES" The Japan Times,Ltd. 1978年3月 1300円
30編のショートショートが収録されています。




そういえば……ハードカバーで発売されたものが、途中でソフトカバーに変更されたものがありました。変更時期と変更理由は不明です。

『おかしな先祖』講談社 昭和47年10月20日発行 500円




これは変更後のソフトカバー版の表紙
『おかしな先祖』講談社 昭和53年8月4日発行 第15刷 690円

帯がかかっていたのかは不明。

【情報を求む】
このソフトカバー版・重版をお持ちの方がいらっしゃいましたら、「何年何月何日発行の、何刷か、帯が付いているか」をコメント欄からお知らせいただけると大変にありがたいです。コメント欄は管理人の承認後でなければ公開されない設定になっています。





これでは並べきれないですねぇ……。

――というわけで、引っ張るようで申し訳ありませんが、もうひとつ記事が続くことになります(-_-;)










星新一の著作をコレクションする(12) 拾遺その1

2016年05月23日 | 星新一





古本屋の棚であまり見かけないものをピックアップして締めくくろうと思ったのですが、拾遺を始めると、けっこうあったので2回3回に分けます。




本自体は見かけても、帯が付いたものが少ないのがこの本です。

 『だれも知らない国で』新潮社 昭和46年11月25日発行 500円 



函に帯という組み合わせは、本を箱から出すときに帯が外れやすいためでしょう。
この作品は「ブランコのむこうで」と改題されています。



この本は帯付きでも良く見かけます。

 『祖父・小金井良精の記』河出書房新社 昭和49年2月28日発行 1000円 



この市販本のほかに親戚に配った別冊の家系図付きの特装私家版が存在します。


 【5/23 追記】※高井さんから、別冊は「小金井氏家譜」というタイトルだと画像を添えてご教示いただきました。 ありがとうございます。
 【5/27 さらに追記】※高井さんがその実物をプレゼントしてくださいました。 

【さらに画像追加】私家版が入手できたので、その画像を追加します。

以下の3枚は私家版です。




『星新一の作品集』(新潮社 全18巻)には、並製版と署名・函入りの愛蔵版があります。
第1巻『ボッコちゃん ようこそ地球さん』並製本 昭和49年6月25日発行 800円


第1巻『ボッコちゃん ようこそ地球さん』愛蔵版 昭和49年6月25日発行 2500円


署名部分






第2巻『悪魔のいる天国 宇宙のあいさつ』並製本 昭和49年7月25日発行 800円




第2巻『悪魔のいる天国 宇宙のあいさつ』愛蔵版 昭和49年7月25日発行 2500円


 
署名部分



愛蔵版は函にジャケットが巻き付けてあり、本体にはパラフィン紙がかけてあります。部数表示はありません。オモテ見返しの後に別紙が挟まれ、そこに署名と落款があります。署名はここで紹介した漢字でフルネームの他に、ローマ字で苗字というものもあります。
18巻あるので、紹介するのは2巻目までにとどめます。

【5/24画像追加】他巻の署名部分をいくつか載せておきます。









『マイ国家』新潮小説文庫 昭和43年7月20日発行 320円



新書版で、この本に帯は付いていません。

表紙を広げると……。






2年後に刊行された同題の新書版。
『マイ国家』新潮社 昭和45年8月20日発行 360円



表紙を広げると……。




帯の違い。



☆コレクションする上で注意すること☆
定価表示は同じですが、左(オモテ面)は同じですが、右(ウラ面)の他の著作の部分に違いがあります。
上は初版時の帯、下は定価は変わっていない重版の帯と思われますが、古書店で購入した時点で付いていた帯です。
重版の帯が初版につけられて、あたかも「初版・帯付き」として売られることがあるので、注意が必要です。


☆星新一の本をコレクションする(6)で紹介した『夢魔の標的』の「初版と紛らわしい奥付の後版」について、発行年の訂正と画像の追加をしました。
☆今回の記事中、作品集の署名部分の画像を4枚追加しました。

 
※拾いに拾いまくったものを5月24日と25日にアップします。
次々回『星新一の本をコレクションする(14)」を関連記事の最後にします。





星新一の著作をコレクションする(11) 『盗賊会社』『宇宙の声』

2016年05月22日 | 星新一




ほぼ刊行順に紹介してきましたが、今回と次回は入手しにくいものに限って紹介します。

 『盗賊会社 ―現代寓話集―』日本経済新聞社 昭和43年5月20日発行 390円


本自体はよく見かけますが、帯付きは比較的少ないようです。
日本経済新聞の日曜版に36回にわたって発表したショートショート集。




 『殺し屋ですのよ』未来プロモーション 1969(昭和44)年12月1日発行 800円



左が函、右がビニールカバーがかかった本。限定版で全冊識語署名入りですが、市場ではよく見かけます。限定部数の表示はありません。

識語には何種類かあることは前に紹介しました。 → こちら




 『宇宙の声』毎日新聞社 1969(昭和44)年12月25日発行 500円

初版発行時。






奥付は初版ですが、プレゼント共通帯に変わり、ビニールカバー付き



ビニールカバーは初版発行時にもあったのかもしれないですが、初版発行時の帯が少ないのは、ビニールカバーがかかっていなかったからではないかと推測しています。




こちらも奥付は初版で、このシリーズ共通デザインのジャケットにプレゼント共通帯が付いています。






星新一著作は多く、1970年代以降に出版されたものは入手しやすいものがほとんどなので、次回は入手が難しいものをまとめて紹介し、そろそろこの項を締めくくろうと思います。












星新一の著作をコレクションする(10) 『妄想銀行』『進化した』『続・進化した猿たち』『花とひみつ』

2016年05月21日 | コレクション





今回は昭和42、3年に発行されたものを紹介します。2冊ずつ紹介してきましたが、今回は4冊です。


 『妄想銀行』新潮社 昭和42年6月30日発行 320円



日本推理作家協会賞を受賞したので、受賞後の重版分から「日本推理作家協会賞受賞」と書かれた帯に変わっています。



 『進化した猿たち』早川書房 昭和43年2月29日発行 650円





刊行順にはなりませんが、続編があるので一緒に紹介しておきます。

『続・進化した猿たち』早川書房 昭和46年3月15日発行 850円





 
 『花とひみつ』日本標準テスト研究会・図書出版部 小学生文庫3年第1集 
昭和43年4月1日発行 50円
 



前に紹介した『気まぐれロボット』(理論社)の収録作品から、「花とひみつ」「べんりな草花」「あくま」(本書の表記)の3編を集めた32ページの薄さの副読本。
この本は星さんご本人から「こんなものもあります」といただいたもので、この本を見つけるのはかなり難しいと思います。








星新一の著作をコレクションする(9) 『気まぐれロボット』『人民は弱し 官吏は強し』

2016年05月20日 | 星新一





今回の2冊は『気まぐれロボット』(理論社)と『人民は弱し 官吏は強し』(文藝春秋)

『気まぐれロボット』は函入りの大型本です。
理論社の名作プレゼント 1966(昭和41)年7月発行 700円
函オモテ





函ウラ


名作プレゼントのシリーズには他に庄野英二『星の牧場』、いぬいとみこ『ながいながい ペンギンの話』などがあります。





 『人民は弱し 官吏は強し』文藝春秋 昭和42年3月5日発行 450円


帯のウラには城山三郎の推薦文が載っています。



一般文芸書が450円という時代に、700円の児童書はかなり高価だったと思います。







星新一の著作をコレクションする(8) 『エヌ氏の遊園地』『黒い光』

2016年05月19日 | 星新一





今回紹介する2冊は、『エヌ氏の遊園地』と『黒い光』です。
『エヌ氏の遊園地』は新書版で、帯はありません。『黒い光』はハードカバー版で函に入っています。


 『エヌ氏の遊園地』三一書房 1966(昭和41)年2月10日発行 250円



      ******      ******      ******    


 『黒い光』秋田書店 ジュニア版SF名作シリーズ 1966(昭和41)年4月25日発行 320円
函(表紙と同一デザイン) 



本体には透明セロファンが掛けられています。
発行後10年以上経った頃に、試しに新刊書店に注文してみたら本が届いたのにはビックリしました。



星新一の著作をコレクションする(7) 『おせっかいな神々』『ノックの音が』

2016年05月18日 | 星新一





今回紹介する2冊『おせっかいな神々』と『ノックの音が』は、ともにソフトカバーの新書版サイズです。


 『おせっかいな神々』新潮社 昭和40年7月10日発行 300円 




 『ノックの音が』毎日新聞社 昭和40年10月20日発行 250円



 ☆コレクションする上で注意すること☆ 
ソフトカバーは帯が外れやすいという難点があります。
退色しやすい色があるので、色褪せのない綺麗な帯が付いているものを見つけるのはかなり困難です。
直射日光に当たらなくても、退色は蛍光灯でもおこるので、保管にも注意が必要です。



















星新一の著作をコレクションする(6) 『ボンボンと悪夢』『夢魔の標的』

2016年05月17日 | 星新一





ほぼ刊行順に紹介してきています。

今日の2冊は『ボンボンと悪夢』と『夢魔の標的』。

 『ボンボンと悪夢』新潮社 昭和37年7月30日発行 290円





 『夢魔の標的』早川書房 昭和39年12月20日発行 300円




 ☆コレクションする上で注意すること☆ 

『ボンボンと悪夢』は造本上、帯が外れやすいので、保管を目的にグラシンをかけていた人のコレクションが出たときに入手するのがベストです。
『夢魔の標的』には奥付の発行年表示が、見た目は「初版」だと思わせる昭和4241年版があるので注意が必要です。(実物を確認したら昭和41年でしたので、訂正します)

※持ち歩く探求書メモには、書名だけではなく必ず初版発行年月日をメモしておきましょう。


【 画像追加 2016/5/22 】見た目は「初版」だと思わせる昭和41年版の奥付部分。






星新一の著作をコレクションする(5) 『さあ、気ちがいになりなさい』フレドリック・ブラウン

2016年05月15日 | 星新一




異色作家短篇集7 フレドリック・ブラウン著/星新一訳『さあ、気ちがいになりなさい』早川書房 
昭和37年9月30日発行 340円

函。

 




表紙。 



月報7には村松剛「星新一のこと」、開高健「磨きに磨いた短剣の鋭さ」と題した一文が収録されています。


【以下、加筆】

刊行時の状態を細かく言えば、本体にはセロファン紙が掛けられ、函にはパラフィン紙が巻いてあり、函の内側で糊付けしてありました。
所蔵本はセロファンは一部変色、破れがあり、函のパラフィンはヤケて汚くなっていたので剥がしてしまいました。

その時の状態のままで保存されているのは稀有だと思います。










星新一の著作をコレクションする(4) 『悪魔のいる天国』(元版)

2016年05月14日 | 星新一




前の記事、HPB『悪魔のいる天国』の元版です。
 『悪魔のいる天国』中央公論社 昭和36年12月25日発行 290円


装幀:真鍋博


この本は、星新一の著作を集めようと思うきっかけになった本です。
新刊書店で見た記憶はまったくなく(というよりは、書店で書棚を眺めるという習慣もありませんでした)、古書店の棚で出合ったのが最初で、インパクトがある黒と白のデザインに強く惹かれたことを憶えています。
赤い帯が付いていたことを知るのは、ずいぶん後になってからでした。

振り返って計算してみると、星新一の本を集めてみようと思い始めたのは、この本が出版されてから10年近く経ってからだったことになります。
それまでに、好きな作家の本を手元に置きたいと思ったことはありました。井伏鱒二、木山捷平、庄野潤三といった純文学畑の作家がその入口でした。しかし、そういった作家はすでに古書価が確立されていて、折しも「初版本ブーム」で、古書店の目録に載っても希望者が殺到し、裏から手を回して手に入れた輩がいるというような、まことしやかな噂が流れることがたびたびあるというような過熱した時代でもあったのです。

「集めたい」のに集まらないというので、その矛先が星新一に向いたとも言えます。
しかし、どんな著作があるのかその全容もわからず、当時はやみくもに古書店を歩き回り、古書店や古書展の目録に目を通すぐらいしか方法はなかったのです。

少しずつ集めるうちに、やがて著作目録を作るまでになりましたが、その時点でも把握できていなかったものがいくつもありました。









星新一の著作をコレクションする(3) HPB『海竜めざめる』『悪魔のいる天国』『午後の恐竜』

2016年05月13日 | 星新一





翻訳を含む、残りのHPB3冊を紹介します。

 『海竜めざめる』ジョン・ウィンダム/著 星新一/訳 HPB3121 昭和41年8月31日発行 260円


装幀:中島靖侃




 『悪魔のいる天国』HPB3147 昭和42年6月15日発行 240円


装幀:真鍋博


そのウラ表紙

昭和36年12月25日に中央公論社から発行された元版の「改稿決定版」とあります。
中央公論社発行の元版は、次の記事で紹介します。



 『午後の恐竜』HPB3198 昭和43年10月30日発行 330円

装幀:真鍋博





星新一の著作をコレクションする(2) HPB版『宇宙のあいさつ』『妖精配給会社』

2016年05月12日 | 星新一





早川書房から出ていたハヤカワSFシリーズには、5冊の著訳書があります。
刊行順に2冊を紹介します。

 『宇宙のあいさつ』HPB3053 昭和38年8月31日発行 250円


装幀:内藤正敏



裏表紙を追加します。NASAの正式な宇宙服を着用しています。






『妖精配給会社』HPB3071 昭和39年7月31日発行 240円


装幀:真鍋博



 ☆コレクションする上で注意すること☆ 
このHPBのシリーズには書名が印刷された函が付いています。函の裏に「お手許に綺麗なままの本をお届けしたくこんな簡単な函をつくってみました いわば包装紙がわりです お買上げ後にはお捨て下さい」とあり、素直に捨ててしまった人が多かったのか、書名が印刷された函付きの本はあまり見かけません。しばらく後になってからは、書名が印刷されていない函が付けられ、さらに後にはビニールカバーが付けられるようになりました。

元々の函かどうかは、本の巻末広告のS-Fマガジンの定価と函の広告の定価が一致しているか(もしくは、函の方が定価が安くなっているか)で判断できます。『宇宙のあいさつ』の函にはS-Fマガジンの広告はありませんが、絵柄が印刷されているのが元の函です。
『妖精配給会社』は巻末広告のS-Fマガジンの定価は190円ですが、函に印刷されている定価は180円です。





星新一の著作をコレクションする(1) 『人造美人』『ようこそ地球さん』

2016年05月11日 | 星新一





星新一コレクションのうち、毎回2冊ずつ紹介しながら、コレクションする上での注意点などを書いていきます。

私のコレクションの方針は、「初版」「市販された時点の姿」を基本にしているので、ジャケット(カバー)、函、帯などの有無にこだわっています。
最初の著作『生命のふしぎ』は前に紹介しているので、最初の作品集から始めることにします。


『人造美人』新潮社 昭和36年2月28日発行 250円


装幀:六浦光雄

ウラ




この本には限定20部と言われる特装本があります。それは前に紹介しました。 → こちら

【5/27 追記】

初版から10年後、昭和46年10月30日発行 10刷 360円




帯の白の楕円で囲んだ部分の惹句が〈星新一 ショート・ショート第一弾〉に変わっています。

帯のウラは、増えた著作の案内に変わっています。






 『ようこそ地球さん』新潮社 昭和36年8月30日発行 280円

装幀:真鍋博



 ☆コレクションする上で注意すること☆ 

当時の出版物は奥付や裏表紙に定価が入っているので、函、ジャケット(カバー)や帯に表示されている定価と合っているかをチェックします。重版の函、ジャケット(カバー)や帯が(意図的に)付けられている場合があります。

初期の作品は刊行から50年以上経っているので、状態が良いものを安く発掘するのはかなり困難です。持っていない本だと、状態があまり良くなくても「とにかく持っていたい」と買ってしまいがちです。状態が悪くてちょっと高いなぁと思うものを無理して買ってしまうと、状態が良いものを見つけたときにはまた買うことになります。納得できる状態のものを納得できる金額で、時には思い切って買うのがコレクション充実の極意ではないでしょうか。
とはいえ、市場にはめったに出てこないという本もありますから、それは状態は二の次にして、とにかく手に入れることです。
何がレアなのかということは、たくさんの古本に触れあっていく中で次第にわかってくることです。
今回紹介した2冊は、角背でジャケットが付いていないので、帯が脱落しやすく、きれいな帯が付いているものは少ないです。本は多少傷んでいるのに、外した帯がページの間に挟み込んであったために、ほぼ無傷というケースもある(あるいはジャケット付きの本だと、外した帯を本体に巻いてからジャケットをかぶせているケースもある)ので、ネットで探すばかりではなく、こまめに古本屋の棚を見て歩くことをオススメします。
帯が外れやすい本は他にもあるので、本自体はよく見かけるのに帯が付いているものをほとんど見かけないというものがあります。そうなると、帯が付いたものをコレクションする難易度がグッと上がります。