最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されないものがあります。ご容赦ください。

私のコレクション "GERMAN BOOK-PLATES"

2016年03月31日 | 書票 蔵書票





GERMAN BOOK-PLATES
An Illustrated Handbook of German & Austrian Exlibris By Karl Emich Count zu Leininger-Westerburg
前に紹介した"ENGLISH BOOK-PLATES"や"FRENCH BOOK-PLATES"と同じシリーズです。


表紙はかなり傷んでいます。
     


発行年は「MDCCCC」が1900年なので、この本の表示「MDCCCCI」は、1901年ということになるのでしょうか。
普通は1901年だったら「MCMI」と表示されるようですが。


表題紙。
     


表題紙と対向するページには書票がありますが、間に薄紙があるので、書票がよくご覧いただけません。
そこには(判読できない)達筆な書き込みと、書票への(あまり上手とは言えない)手彩色が施されていますが、画像は省略します。



前見返し紙の次のページ。
     


紹介されている書票の中から、ちょっと不気味なのをひとつ。
     

私のコレクション "BOOK-PLATES"

2016年03月27日 | 書票 蔵書票





"BOOK-PLATES"by W.J.HARDY 

発行年が「MDCCCXCVII」となっているので、1897年ですね。
ということは……119年も前の本ということになります。
その割に型崩れもせず、しっかりしています。


表紙

     


なぜか同じタイトルのものがもう1冊あります(^_^;)

     

表紙以外はまったく同じ内容のようですが、後の方は表紙右下にプリンターズマークが入っているので、これが元々の表紙なのかもしれません。


表題紙の裏ページには First Edition published 1893 as Vol.Ⅱ.of‘Books about Books’とあります。『本に関する本』Vol.Ⅱとして1893年に初版を刊行したものをリメイクして’BOOK-PLATES’とタイトルを変えて出版したもののようです。表紙のデザインが違うものが存在する理由はわかりません(^_^;)


表題紙。
     



目次。
     

      

     


収録されている書票の中から1点だけ紹介します。

     



















私のコレクション "ENGLISH BOOK-PLATES"

2016年03月26日 | 書票 蔵書票





ENGLISH BOOK-PLATES
An illustrated handbook for Students of Ex-Libris by Egerton Castle M.A.,F.S.A.

     

1000部の限定出版で、そのうち935部が普及版で、65部が Jananese Vellum(三椏を原料として作られる「局紙」)に印刷されています。もちろんこの本は普及版です。

右ページの一番下、緑の○で囲ったところが発行年の表記です。発行年がローマ数字で表記してありますが……Mdcccxcij. ??

「Mdccc」は1000+500+300で1800、「x」は10 なので10、その次に100を表わす「c」が来るのはヘンだと思ったのですが、100から10を引いて90ということになるのでしょうか。1の位は「i」なので、「j」は間違いなのでは?と思いましたが、このタイトルで検索して出てきた画像を見ると、発行年が「Mdcccxciij. 」になっていたので、最後に来る「i」は「j」と表記されるのかもしれません。

この本が紹介されているサイトは↓で、全部のページが見られます。
http://publicdomainreview.org/collections/english-book-plates-ancient-and-modern-1893/


ローマ数字表記の読み方が合っているとすると、「Mdcccxcij. 」は1892年ということになり、検索で出てきた本は1893年ということになるのかなぁ……。
検索で出てきた本のローマ数字の下には、鉛筆で1893年と書き込んであります。


2冊を比較すると装幀は同じようですが、表題紙の対向ページの書票が違いますし、構成も若干変わっています。

所蔵の本は、表紙側のミゾがほとんど切れかかっていて、かろうじて裏表紙側は切れていないので、半分取れかかった背が保たれています。
自分で直せばいいやと思って状態をあまり気にせずに手に入れたのですが、製本し直す気力が失せてしまった今、このままにしておくほかはありません(^_^;)

このシリーズ、他にドイツ篇とフランス篇の2冊を所蔵していますが、どちらも状態は同じように良くありません。


この本に収録されている書票の中から、私が好きな Walter Crane の2作品を紹介します。

     


     



もし私がこの時代に生きていたら、書票作成を依頼していたかもしれません。












私のコレクション 英国書票協会会報 

2016年03月22日 | 書票 蔵書票




The JOURNAL OF THE Ex-Libris Society (LONDON)

ネットオークションで入手したものがほとんどです。
一番古いのが1896年vol.6です。

   

紋章型の書票がほとんどで、中綴じ(糸かがり)で天が袋になっているので、カットしないと読めません。

   


1900年vol.10です。

   

表紙のデザインが変わらないので、面白味が乏しいですね。



持っている中で一番新しいのが、この1904年vol.14
新しいと言っても112年も前のものですから、劣化が激しく、スキャンするとガラス面に紙粉が残ります。

   


2ページ目と3ページ目の間に薄紙が挟んであり、2ページには網点が無い印刷方法で刷られた書票が紹介されています。

   

糸かがりで中綴じ、天が袋になっているのでカットしないと読めないというのは、1896年と変わりません。

ネットオークションで数冊ずつまとめて入手しているので、保存状態もばらばらで、何冊かダブリがあります。


この英国書票協会についての知識は皆無なので、中身の全部をご覧になりたいという要望にはお応えできますが、組織についてのお問い合わせや質問などは、ご容赦ください(^_^;)











私のコレクション 坂本一敏さんの書票 その2

2016年03月21日 | 書票 蔵書票





前記事に続き、坂本一敏さんからいただいた書票の数々です。

サイズがちょっと大きいものから紹介します。


エッチング 作者:原島典子 制作年:1984年


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エッチング 作者:桐村茜 制作年:不明


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エッチング 作者:篠原佳尾 制作年:不明


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エッチング 作者:宮下登喜雄 制作年:不明

エッチング 作者:宮下登喜雄 制作年:不明

エッチング 作者:宮下登喜雄 制作年:不明


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エッチング 作者:小林ドンゲ 制作年:不明

エッチング 作者:小林ドンゲ 制作年:不明


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以下はサイズが小さいもので、実際のサイズ通りにはなっていません。
見た目の大きさとはかなり異なるものもあります。




技法不明 作者:左合恒夫 制作年:1996年


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作者:横田稔 制作年:不明


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孔版 作者:川田喜一郎 制作年:不明


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木口木版? 作者:野島愛子 制作年:1993年










私のコレクション 坂本一敏さんの書票 

2016年03月19日 | 書票 蔵書票






このところ本の話題から外れた記事が多かったので、書票(蔵書票)の紹介をします。


日本書票協会の会長も務めた坂本一敏さんからいただいた書票の数々です。
切手のコレクションをファイルするアルバムに入れてあるので、作家別に分類してある訳ではありません。

























書票の裏に作者名と制作年をメモしてあるものが多いのですが、何も書かれていないものもあるので、調べずに並べます。

作品のサイズが大きいもの、アルバムに収めきれなかったものを次の記事で紹介します。





私のコレクション 星製薬関連資料 新薬 ホシ小児虫薬

2016年03月16日 | 





「ホシ小児虫薬 内用丸薬」
顧問として野口英世と杉本順造の名前が記してあります。 




定価は10銭で、袋の裏側には定価の1割に相当する1銭の収入印紙が貼ってあるので、これも大正時代のものと思われます。



未開封ですが、袋の上から触ると、細い円筒形のものに納められているようです。







私のコレクション 星製薬関連資料 新薬 ホシ下剤

2016年03月14日 | 





「ホシ下剤 内用丸剤」30粒入り定価5銭。
顧問として米国名誉医学博士、医学博士の肩書の野口英世先生と、ドクトル杉本順造先生とふたりの名前が記載されていますが、有名な野口英世と肩を並べている杉本順造とは一体誰なんでしょう。

        



袋の裏側には定価の1割に相当する5厘の収入印紙が貼ってありますので、これも大正時代のものと思われます。

        


この袋は30粒入りですが、70粒入りになると定価10銭で、10粒増量と表示されています。

未開封ですが、袋の上から触ってみると、丸薬らしきものが入っているのがわかります。





私のコレクション 星製薬関連資料 ホシ複方鹽剥散

2016年03月12日 | 





「口中良薬 ホシ複方鹽剥散」とムズカシイ感じが並んでいて、なんと読むのか……。
「複方」は複数の薬剤を調合した薬のことで、「鹽」は「塩」の旧字。「剥」は剥離(はくり)の剥ですから「はがす」ということなんでしょう。「散」は「胃散」のように、不快感が去り爽快感が残るというような意味でしょうか。漢字に付けられたフリガナは「ホシ ウガイグスリ」となっています。
読み方の答は袋の上の方、英文表記部分にありました。HOSHI ENBOTSUSAN 「ほしえんぼつさん」と読むようです。

―星標漱口散― とも書いてあります。
星製薬の「星」、「標」は商標登録してあるということか、「漱」の字は夏目漱石の名の由来が語られるときに聞いたことがあると思います。「流れに漱(くちすす)ぎ石に枕す」……星ブランドのうがい薬で、使うとサッパリしますよ ということなんでしょうね。


        


        


袋の左側にはハングル文字での表記もあり、3包入りで定価は20銭。
「用法」「主治効能」は日本語・ハングル・中国語で表記してあります。

袋の裏側には1銭の収入印紙が2枚貼られています。
定価20銭の10%は2銭ですから、売薬印紙税制下の大正時代のものです。






回想 「クリちゃん」の作者 根本進さん

2016年03月10日 | 気になる作家/画家





ある資料を探していたら、書棚にあった、この本の存在に気づきました。



ある年代以上の方は、朝日新聞の夕刊に連載されていた4コマ漫画の「クリちゃん」を覚えておいでだと思います。

調べてみると、連載されていたのは1951年10月1日から1965年3月31日で、作者は根本進さん。
当時、我が家では「朝日新聞」を取っていて、ひとつひとつの作品は覚えていませんが、載っていたことは覚えています。


この本は1965年に出版した私家版の海外版。海外版と言っても、「まえがき」に相当する一文が日本語、英語、フランス語、ドイツ語で表記してあるだけで、この漫画には吹き出しは無く、絵だけでわかってもらえるのですから世界共通ですね。

この本には2001年1月12日付の自筆署名と私宛の献辞があります。
献辞にはこう書かれています。

ちょっとした思いつきから……
貴社に伺い、貴兄にお眼
にかかれたのは、本当に幸せだ
ったと思います
これははじめて自分一人で作った本ですが
今になってみると僅かながら(数冊ながら)よくとっておいたものだと思
っています
不備だらけ(特に外国文字)
 いつも慌てていますし不勉強ですし不熱心でした

おそらく本を送っていただいた前年の2000年かその前の年のことだったか……ある日、私が勤めていた出版社に、背丈ほどもある杖を手にした老人が訪ねてきました。最初に応対した総務課員からの内線電話を受けたのが私でした。
質問内容が何だったか覚えていませんが、社の出版物に直接かかわる質問というよりは、一般的な自然科学の領域の質問だったように思います。調べることは嫌いではなかったので、調べた範囲でまとめた資料を後日お送りしたんだったと思います。
その後、頼りになると思われてしまったのか、何度か電話があり、こちらからも電話をかけた記憶があります。
その時に何を話したんだったか……。その老人が「クリちゃん」を描いていた根本進さんだということがわかったのはいつだったか……。記憶が定かではありません"(-""-)"

この本は会社に郵送されてきたのですが、数日おいて同じ本がまた届きました。ほとんど同じ内容のことがしたためてあったと思います。
「と思います」というのは、仕事をお願いしていたデザイナーに「根本進さんから同じ本が2度届いたんですよ」という話をしたら、彼が根本進さんを敬愛しているというので、それならとダブった1冊をプレゼントしてしまったので手元にないのです。
後日知ったことですが、晩年の根本さんは物忘れが激しかったらしく、雑誌の連載にも支障が出て続けられなくなったようです。
尋ねられたことを調べてコピーを送ったはずなのに、届いていない(手元にない)と言われことがありましたっけ。

根本進さんが亡くなられたのは2002年1月で、85歳だったそうです。

亡くなるひと月前、2001年の12月、銀座の伊東屋でのこと。
伊東屋のエレベーターは年末で特に混んでいて、途中階からは乗れないことが多々あったので、最上階まで上がって、階段を下りながら面白そうな階を覗いて下りていた時、独特の大きな声が聞こえてきました。「あれっ? 根本さんの声では?」と声がした方を見ると、エレベーターホールの人ごみの中に、長い杖を手にした根本さんの姿が見えたのです。

ですから、新聞の訃報欄を見た時にはにわかに信じられませんでした。
訃報を聞く直前に銀座で姿をみかけたことがあったはず(いつだったか記憶はなかったものの、その状況だけは克明に覚えていました)と、当時の手帳を探し出して日付を辿ってみたら、訃報欄を見た日に「先月お姿を見かけたのに」とメモしてあり、その日が2001年12月の何日だったということがわかりました。

最初にお会いしたのは、おそらく根本さんが83歳の頃だったのでしょう。その歳で、亡くなる直前まで都内のあちこちをひとりで闊歩していたのですから、大したものだと思います。


10年と少し前のことなのに、これほど記憶がアヤフヤとは、いやはやなんとも情けない限りです(^_^;)





私のコレクション 星製薬関連資料 ホシ ペプシン錠

2016年03月09日 | 





これも未開封の瓶入りのホシペプシン錠(30錠入り)です。高さ6.5㎝の紙製の箱に入っていますが、収入印紙ではなく、HOSHI SEIYAKUKABUSIKIKAISHA-TOKYO という文字が星製薬のNのマークを囲んでいる円形の封緘シールで封がしてあります。

        


        


        


        

細長いガラス瓶に入っています。

        


        


効能書き

        


定価表示はどこにもなく、収入印紙が貼ってないので、昭和に入ってからのものと思われます。

その頃の星製薬のカタログを調べてみないといけないですね。








私のコレクション 星製薬関連資料 小児風薬

2016年03月07日 | 





大正時代のもののようです。高さ6センチほどの小さな箱には、定価20銭と表示されていて、箱の蓋は2銭の収入印紙で封がされています。
これから紹介していく紙袋に入った薬(「ホシ小児虫薬」「ホシ複方鹽剥散(ホシウガイグスリ)」「ホシ下剤」)も、紙袋には定価の1/10の収入印紙で封がされています。
薬と収入印紙はヘンな取り合わせですが、そのことからこの薬の時代が推定できるかもしれません。


        


【用法】は、1歳以下は1日3回1匙宛、1歳より2歳迄 1日4回1匙宛、2歳より3歳迄 1日6回1匙宛……と年齢が増すにつれて、服用する量が増えていきます。

        

匙といわれてティースプーンを思い浮かべてしまったので、この小さな箱に入っているのは1回の服用分ほどしか入っていないのでは? と思ってしまいました。

        


         

未開封でしたが、開けてみることにしました。 

        

出てきたのは更に小さなガラス瓶に入った粉薬様のものと、耳かきの数倍ほどの大きさの金属製の匙でした。

        

箱の中には、折りたたまれた効能書きも入っていました。両面印刷です。

オモテ
        


ウラ
        


小児専門の薬として販売するのは、国内唯一と謳っています。



【記事アップ後の追記】
調べてみると、「売薬印紙税」という税制があり、明治16年1月から売薬には定価を付け、その10%の額面の収入印紙を貼らなければならなくなったそうです。この税制が廃止されたのは大正15年なので、この薬は大正時代のものと判断できます。









  

寄贈本 第1回日本SFファンジン総展示会 『ジンテン1』

2016年03月04日 | コレクション





時々コメントをお寄せいただく高井信氏から送っていただいた 
第1回日本SFファンジン総展示会 『ジンテン1』

出版社から発行された本ではなく、高井信氏個人のオンデマンド出版、
中綴じ40ページで収録図版はオールカラーです。


表紙。

目次です。
(追記)本書の他に2冊(『SF雑誌99の謎』『ベムAGAIN+』)オンデマンドで販売していましたが、すでに販売を終了しています。



出版形態の多様化は歓迎すべきことですが、商業出版社にとっては厳しいことになるのかもしれません。