最終回文庫◇◇雑然と積み上げた本の山の中から面白そうなものが出てきた時に、それにまつわる話を書いていきます◇◇

※2011年9月以前の旧サイトで掲載した記事では、画像が表示されないものがあります。ご容赦ください。

新刊のご案内 

2020年01月05日 | 本の紹介
このたび、集英社文庫より、三宮麻由子さんの新刊、『四季を詠む 365日の体感』が発売されます。
季節を全身で感じ取ったエッセイであるとともに、子ども時代やアメリカ留学の思い出、俳句や音楽談義、現代の最新情報など、三宮麻由子ワールド炸裂の一策です。
「未来」誌に原文の一部が掲載された後、加筆と修正を加え、10年の時を経て現代の情報も盛り込んだ新しいエッセイとして文庫化されました。感性世界の面白さだけでなく、三宮さんがこれまで歩んできた感覚世界と人間の歴史としても読める不思議な一冊です。



ぜひ、お手に取ってください。








寄贈本 かわじ もとたか著『続 装丁家で探す本 追補・訂正版』

2018年09月10日 | 本の紹介





本書は626ページ、表紙の厚さまで入れると42㎜もある厚冊です。
紙版の「最終回文庫」の古くからの会員、かわじ もとたか氏が「最後」と言いながら本当にこれが最後になるかもしれない『続装丁家で探す本 追補・訂正』を上梓され、ご恵送いただきました。





「最終回文庫」では装丁(装幀)に関して書いた記事がけっこうありますが、自分自身が興味がある作家の出版物とその装幀という、ごく限られた中での取り上げ方しかしてきていないのに対して、本書では430人、9100冊という膨大な装丁本を収録しています。古書目録から抜き出しているので、相場も参考になります。

かわじ氏の「はじめに」の冒頭部分です。
この本の文字組の特殊性も併せてご覧ください。







通常、本の背を上にして開くことはしませんが、リスト部分は、見開きで縦書きという特殊な組み方をしています。




―ということは、通読する本ではなく、調べたい装丁家を巻頭の「あいうえお索引」で引き、そこに載っていれば、その該当ページに当たるというやり方で、装丁家別に、上梓された本の作者、出版社、発行年、データ収集当時の相場などが分かるようになっています。

ただし元データは古書目録から採録しているわけですから、装丁者の名前まで載っていなければ採録されません。
例えば、私が好きな星新一は真鍋博装丁の本が多いにもかかわらず、本書では採録された中には1冊も載っていませんし、和田誠との組み合わせの本も多いのですが、本書では和田誠自体、装丁家として取り上げられていません。

取り上げ方に偏りがあるとはいえ、これだけのデータを採録、分類することは非常な困難が伴ったことは想像に難くなく、たいへん貴重な労作と言えます。
この先、本書を端緒として充実した資料が作成されていくと、すばらしい資料が出来上がっていくものと期待できます。


恵送いただいたお礼を申し上げたところ、かわじ氏から、活躍中の装丁家には遠慮し、故人となった装丁家を主眼にしていること、真鍋博は2004年に東京ステーションギャラリーで『真鍋博展』が開催されたことに配慮し、和田誠は前著『装丁家で探す本』で取り上げていることをお知らせいただきました。(おふたりとも装丁した本をリストにしたら1冊になるぐらいあるでしょうから、それはもっともなことです)
本書のあまりの厚さに圧倒されて、「改訂増補版」だと思い込んでしまいましたが、「追補・訂正」なのですね。(2018年9月12日 追記)




巻末には横組みで「装丁挿話」が100篇+番外編6話が掲載され、ほかに「装丁展ほか開催一覧」は、かなり丁寧に拾ってあるという印象で、古書店はもっと装丁家に注目すべし!という著者の考え方に大いに賛同するものです。



   ※かわじ氏からは2014年に『序文検索 2箇目 序文跋文あれこれ』の恵送を賜り、ここで紹介しました。










寄贈本 高井 信 『日本ショートショート出版史~星新一と、その時代~』

2017年06月13日 | 本の紹介





大変な労作も労作、高井信さんによる 『日本ショートショート出版史~星新一と、その時代~』 がオンデマンドで出版され、私ごときにも献本をいただきました。



オールカラー、横書き、B6判並製、イラスト:YOUCHAN(トゴル・カンパニー) 頒価3,000円(税込)。

ショートショートと言えば星新一ですが、星新一がデビューした1957年から歿した1997年までの日本のショートショートの歴史を編年体で詳述(1998年以降は略史)しています。
「ショートショート」のキーワードで高井さんが選書した本は、起点の1957年よりも遡るものも含まれており、これまでにそのキーワードで語られたことがない出版史が300ページの厚冊にこれでもかと詰め込まれています。ページを開くと1000点を超える本の表紙がカラーで紹介されていて、いやはや、これはスゴイ……と圧倒されつつも眺める楽しさにどっぷりと浸れます。
見たことのない表紙もたくさんありますが、新刊書店や古書展で自分が手に取ったことがあるものもあって、その時の自分を思い出す不思議な気分を味わいました。

仮に図版ページをまとめてコストダウンを図っても、商業出版では販売価格はかなり高くなることが容易に想像できます。3,000円という頒価は、オンデマンドだからこそ出来たと言えるでしょう。


☆☆ 購入方法は高井信さんのブログをご覧ください ☆☆

    → こちら